2020/08/03

お漏らし慎吾

 

この記事を書いている人 - WRITER -

『侮辱』について・・

幼稚園の頃によくウンコを漏らしていた。

誰かが「先生、なんかくちゃい」と言うと、
みんなが一斉に僕の方を見た。

別にお腹がゆるかったわけでも
何かの病気だったわけでもない。

みんなの前で挙手することができなかったのだ。

僕は自分の意思を他人に伝えるのが苦手だった。

とくに集団の中にいる時には、
周りと違う行動を取ることができなかった。

そうすることで、周りに迷惑をかけてしまうと思っていたのだ。

そんな子供が、
「先生、トイレに行きたい」
なんて言えるはずがない。

もし勇気を出して第一関門を突破したとしても、
次に戻ってきた時に「お前、ウンコしてただろ」
とバカにされるという障壁が待ち受けている。

その結末を予想して悩んでいるうちに、
我慢の限界を迎えてしまうのだった。

そんな”いじめられるネタ”をもっていながらも、
僕はよく友達をいじめていた。

腕っぷしが強く、運動は誰よりも得意で、
その力を誇示するかのように他人を痛ぶっていた。

また男の子グループのボスとなり、
全員で一人の子を嘲笑の的にしていた。

今思えば、この子供のキャラクター設定がよくわからない。

だから先生たちからすると、
僕はきっと取っつきくい子供だったと思う。

中学への進学を目前に控えた小6の時、
友達の家に親戚の男の子が遊びに来ていた。

聞くとその子も6年生で、同じ中学に進学するらしい。

そこで会ってみようと顔を合わせてみると、
相手は幼稚園の頃によくいじめていた子だった。

彼も会った瞬間に僕のことを思い出したらしい。

けれど6年の月日は子供の人格を変える。

彼は他人をバカにするような人格を形成し、
僕は劣等感にまみれた控えめな人格を形成していた。

そして開口一番、彼はこう言った。

「こいつ、小さい頃にウンコばっか漏らしてたんやで」

その場にいた僕の友達数人に対して、
一番知られたくない秘密を暴露したのだった。

あの時、彼はきっとこう言ったかったのだろう。

「オレはもう、あの頃のオレじゃない」

他人からバカにされてもわんわん泣くだけだったダサい自分はもう死んだ。

オレは生まれ変わったんだ。

今のオレはお前より強いんだ。

「今のお前は、オレよりずっと格下の男なんだ」

この記事を書いている人 - WRITER -
 

  関連記事 - Related Posts -

 

  最新記事 - New Posts -

 

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。

Copyright© 売れっ子Kindle作家 大矢慎吾 , 2019 All Rights Reserved.