2020/02/20

ギリギリのところで親は理解

 

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真っ暗闇

うっすらとした光

・・・

目を開けました。

どうやら朝になっていました。

いつもと同じ空間に僕がいました。

(そうか・・。)

意外と冷静でした。

(親にどう説明しようか・・。)

もうすぐ母が部屋に入ってきます。

親にはごまかさないと・・そう考えているうちに母が部屋をノックしました。

 

「入るよ。」

母が部屋に入ってきました。

僕はベッドに腰かけ左手に毛布をかけました。

「今日も、学校休む?」

いつもの心配した顔で母が僕に尋ねました。

「うん・・そうだね・・。」

母は僕のオドオドした様子をすぐに察知しました。

「どうしたの?何か気になる??」

僕はもう・・赤く染まった左腕を隠し通すことができませんでした。

 

「ヴァんた!!ヴァにしてるの!!!」

 

母はグシャグシャの口でデタラメな言葉を叫びました。

泣き出しました。

僕も涙が溢れてきました。

「もう疲れたよ・・。」

「もう生きていてもどうせ楽しいことなんてない。」

「なんのために生きるのかわからんよ。」

僕はこれまでに抑えていた気持ちを全て母にぶちまけました。

「なんでこんな体なんだよ!」

「なんでオレだけがこんな嫌な思いしなきゃダメなんだ!」

「学校とか進路とか、そんなん知るか!いま苦しいんじゃ!わかったような事言うな!」

 

母は僕の話を全て受け止めたあと、僕にこう言いました。

「でもあんたが死んだら、私は悲しくて生きていけないよ・・だから・・」

 

「私のために、生きなさい。」

 

引きこもってから担任の先生が何度か僕の部屋に来ました。

「世界には恵まれない子供がたくさんいる。」
「五体満足で生まれただけでも幸せだと思う。」
「重い病気を背負いながら頑張って生きている子供もいる。」

こんな感じの話をされたと思います。

よく涙を誘うような「泣かす番組」みたいなテレビでも
似たような雰囲気を感じました。

“世界には自分よりも不幸な・・”みたいなことを
どれだけ言われても、当時の僕にはなにも響きませんでした。

「知るか!オレだっていま苦しいんだ!」

広い世界に目を向けるとか、もっと大人になったらわかるとか、
そんな正しすぎる正論をどれだけ繰り広げられても、
僕には納得する余裕はありませんでした。

ただ、母が言ったこの、

「私のために、生きなさい。」

この言葉は僕の心を説得することに成功しました。

それは15歳の少年にとって最もリアルに使命感を感じさせた、
異性の親に対する救世主心、マザコンにも似た感情
を最高に引き出す
ベストなコーチング(相手を成功に導く指導技法)でした。

それ以来、「ワタシ」が頭の中を支配しそうに
なったときはこの言葉を思い出しました。

 

最近、母と当時の話をしました。

いまの僕にとってはある意味“勲章”のような過去です。本当ですよ。

僕は当時の母の気持ちをようやく知ることができました。

 「あの出来事があって初めてあんたの“ニオイ”の悩みが、
私が思っているよりも深刻なんだとわかった。」

そうです、母は、僕の口習の悩みが
こんなにも僕を苦しめている事を、
全く理解していなかったのです。

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