2020/02/20

リセットして楽になる

 

この記事を書いている人 - WRITER -

その日は落ち着いていました。

悲しみや怒りはもうどっかに消え体の感覚を感じません。

静かでした。

 

ムクッと目を覚まし淡々と歯を磨きました。

部屋の椅子に座りました。

なにをするわけでもなく前方をただ見つめていました。

机の上に積まれたノートや教科書、使い古した筆箱や擦り減った消しゴム、そのどれにも焦点は合っていません。

目の前の空間を見つめていました。

1枚のルーズリーフに家族への手紙を書きました。

謝罪やお礼などを綴りました。

書きあがった手紙を見てすぐにビリビリに破って捨てました。

キザな感じがしたからです。

悲劇の主人公を気取りたい自分を初めて認識しました。

 

テレビを点けました。

チャンネルも変えず映っている絵を無感情で眺めました。

こういう日はご飯を食べるものなのかな?

一般的なスタイルを考えたりしました。

もうすぐ夕方、親が帰ってきます。

感情が生じるのを避けるようにもう一度ベッドに入りました。

 

夜中になりました。

台所に行きました。

よく切れる大きな包丁は引き出しの奥にありました。

部屋に戻りベッドに腰かけ大きな包丁を眺めました。

こいつはよく切れそうだな。

他人事のように思いました。

しかし・・・

想像した次の瞬間とてつもない恐怖が襲ってきました。

包丁を持った手が震えてきました。

涙が出てきました。

両親の顔が思い浮かびました。

自分は本当に恐ろしいことをするんだと感じました。

親を一生悲しませるひどい人間なんだと感じました。

けれど、それ以上に・・

もう何もかも終わらせたい

譲れない思いがありました。

 

・・左手に少し熱を感じました。

この記事を書いている人 - WRITER -
 

  関連記事 - Related Posts -

 

  最新記事 - New Posts -

 

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。

Copyright© 売れっ子Kindle作家 大矢慎吾 , 2017 All Rights Reserved.