2020/08/03

不幸な出来事その6「父の難病」

 

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最初に知らされたのは母の電話だった。

「お父さん、仕事を辞めたからね」

それは公認会計士試験の二次試験を終えた直後だった。

元々期限は3年と決めていたこともあり、
3年半目に受験したこの試験が、僕の最後の挑戦となった。

だから父が倒れてから一年間、ずっと黙っていてくれた母も、
ついに僕に真実を告げたのだった。

ところがその母の気遣いも虚しく、
最後の試験の手応えはゼロだった。

間違いなく不合格、それはもう
試験が終わった瞬間に分かりきっていた。

落ちたら何も残らないといわれる公認会計士試験。

三年半かけて会計の高度な知識を身につけたとはいえ、
それを活かす場に就職できることはまず無い。

その知識を証明するものは何も無いのだから。

もはや四ヶ月後の合格発表を待つまでもなく、
僕は身の振り方を決めなければいけない状況だった。

元々何のアテもなく田舎から出てきたこともあり、
大阪に残っていても頼る知人は誰もいない。

仕事も人脈も貯金も無い裸一貫のその状態は、
どう考えても若者が夢を諦めて田舎に帰省するタイミングだった。

「このまま田舎に帰っても得たものが何も無い」
「今帰ったら近所の人や友人たちの笑い者になる」

それだけは絶対に嫌だった僕は、必死にもがいた。

そしてインターネットを活用した個人起業の方法を見つけた僕は、
これが最後のチャンスと自分に決めて必死に取り組んだ。

背水の陣を引くため母にもそう宣言した。

その結果、僕は自分の会社を経営するまでになった。

まさに火事場のクソ力だった。

僕がそこまで頑張れたのは、
間違いなく父の病気の存在があったからだ。

・・そう、そこまでは良かったのだ。

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