2020/02/20

二人だけの卒業式

 

この記事を書いている人 - WRITER -

サプリメント、スプレー、そして精神科にまで行き、
両親の協力もありましたが、やはり学校に戻ることはできませんでした。

一度不登校になると学校に戻るのはかなり困難だと思います。

頑張ってみよう!と思って学校に行けたとしても、
周りの人間の目が、それ以前よりはるかに気になってしまいます。

自分が不登校になったことを周りはどう思っているのか?
何かしら問題があったことは大体わかるはずです。

仮に自分が問題を解消したとしても、
不登校だったその事実は変えることができません。

登校して周りにどう反応されるか?
何事もなかったかのように過ごせるのか?
もし学校に来なかった理由を聞かれたら?

自分が登校した様子をシミュレーションしても、
良いイメージにつながることはまずありません。

ただここで18年後の自分からここにメッセージを記しておきます。

 

 

“あなたが思っているより、他人はあなたのことに興味がない”

 

 

これは残酷なほど素晴らしい事実です。

自分は自分のことを100パーセント見ています。

何が起こったのか、どんな恥ずかしいことなのか、全てを知っています。

しかし他人はあなたにそれほど注目していません。

あなたに起こった出来事、あなたの言動や行動、
その一挙手一投足にいちいち目を向けてなどいないのです。

事実、僕はその後「なぜ学校に来なかったの?」
などと同級生に聞かれたことはありません。

誰も聞いてこなくて、自分から言い訳して周りを変な空気にさせる、
というような状況に気がついてなかったくらいです。

「そんなことより遊びに行かない?」

社会は冷たくて、あっさりしていて、
だからこそ何度でもやり直せるのかもしれません。

 

中学校の卒業式当日・・

登校時間を過ぎても僕はいつものようにベッドにいました。

クラスの子がわざわざ家に電話をくれたらしいです。

でもその日は朝方ようやく眠りについていて全く気づきませんでした。

僕が事前に行かないと言っていたのか、
両親は二人とも仕事に行っていたと思います。

もしかしたら家にいたのかもしれませんが、
ちょっとそのあたりの記憶は曖昧です。

そんな卒業式から数日後、
母が突然「学校に行くよ。」と言ってきました。

「はぁ?なんで?」僕が聞き返すと母がこんなことを言い出しました。

「卒業証書を取りに行くから。」

卒業証書?別に卒業証書なんてどうでもいいよ、
そう思いましたが、母の様子を見たときこれは行った方が良いんだろうと察しました。

 

学ランに着替え二人で学校に向かいました。

(卒業証書を受け取ったら終わり。)
僕はさっさと終わらせて早いとこ学校を去りたいと思っていました。

他の生徒にも会いたくないですし。

学校に着くと僕たち親子は校長室に案内されました。

入室すると校長先生がいて、その周りには何人かの先生がいました。

部屋の奥に校長先生、そこまで道を作るように
両脇を数人の先生方が並んでくれていました。

僕が一人で歩いていって校長先生から卒業証書を受け取りました。

「卒業おめでとう。」

校長先生の言葉に続いて先生方が拍手をしてくれました。

まぁなんというか・・照れ臭い感じです。笑

中学時代の楽しい思い出なんて一つもないと思うくらい、
暗いイメージの記憶ばかりですが、
最後にこのような温かい心遣いをしていただきました。

そのおかげで僕と母は、僕たちにしか体験できない、
僕たち二人だけの卒業式という思い出を作ることができました。

 

余談ですが、このあと一人で廊下を歩いていた時、
一人のおばちゃんの先生が僕に近づいてきました。

そして僕の両手を力強く握ってこう言いました。

「がんばりなさい。」

ひねくれた僕は、なんだよって感じで若干引いていました。

おばちゃん先生は僕の反応などお構いなしって感じで、
まっすぐ僕の目を見つめて言ってきました。

「いい??がんばりなさいよ。」

休みがちになってから学校に行くと、
大人は僕のことを腫れ物に触るように接してきました。

地雷を踏まないように、
うっすら哀れみを浮かべながら、
同情の眼差しで僕に接してきました。

それに対して傷つくことは特にありませんでしたが、
なんとなく大人はこんな感じなのかな?と冷めた目で見ていました。

おばちゃん先生はそういう上っ面とか、体裁とか、
そんなものを全部すっとばして本音で僕にぶつかってきてくれた
僕はそう感じました。

失礼な話、学生時代の先生の指導や言葉など一切覚えていませんが、
おばちゃん先生の言葉とその“覇気”だけはいまでも覚えています。

たまに他人に感情的に指導する時、
おばちゃん先生の覇気が自分に乗り移っているんじゃないか、
そんな気持ちになる時があります。

かっこいい女性でした。

 

「なんか・・逆に貴重な体験ができたよね。」

母は笑顔で言いました。

僕たち二人は帰りの車で妙な気分になった、
という記憶があります。

たしかにこんな経験ができる人もあまりいないだろうな、
そう思いました。

二人だけの卒業式は僕たち親子にとって素晴らしい思い出です。

その日は少しだけ心が晴れやかになったかもしれません。

とはいえ現実、もうすぐ高校生活が始まります。

 

麻雀とアルバイト、ありふれた高校生活でしたが、
きっとここは一つのターニングポイントだったと思います。

口習については“ある方法”で毎日をしのいでいました。

この記事を書いている人 - WRITER -
 

  関連記事 - Related Posts -

 

  最新記事 - New Posts -

 

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。

Copyright© 売れっ子Kindle作家 大矢慎吾 , 2017 All Rights Reserved.