2020/08/03

あんな大人にはならない

 

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『怒り』について・・

10日ほど、怒りについて書いてきた。

そろそろ次のテーマに移ろうかと思い、
最後に何を書くかを考えた。

そこで、過去を振り返ってみたところ、
とても鮮明な一つの記憶が出てきた。

小学生の時の記憶だ。

あれは3年生の時だったと思う。

僕の通っていた小学校は、
家から徒歩30分ほどの場所にあった。

田舎の学校は、一つの学校の学校区が広いので、
僕よりもさらに遠い所から通っていた子もいた。

通学する時は数人でまとまった「班」になり、
みんなで集合してから学校に向かっていた。

その同じ班に同級生の男の子がいたのだけど、
ある時に彼が、暑い時期にも関わらず、ジャケットを羽織っていた。

しかもその日だけではなく、次の日も、またその次の日も、
彼はジャケットを羽織って集合場所に現れた。

そしてダラダラと汗をかいて、毎日通学していたのだった。

僕は当然の質問をした。

「どうして、暑いのにジャケットを着てるの?」

すると彼は「いや、別に・・」と言って、
羽織っていたジャケットをランドセルにしまった。

僕はその行動を気にも留めなかった。

だけど次の日の朝・・

いつもの集合場所に着くと、
そこには彼と彼のお母さんがいた。

そして彼のお母さんは、僕を見つけるや否や、
ものすごい剣幕で怒鳴り散らした。

「あんた、この子に昨日、
”どうしてジャケット着てるの?”
って聞いたらしいね。

風邪を引いてるからだよ!

あんたがこの子に変なこと聞いたせいで、
この子がジャケットを着ていくのを嫌がったじゃないの!

風邪が悪化したらどうしてくれるのよ!!

もう二度とこの子に変なこと言わないでよね!」

彼のお母さんは一方的にそう言うと、
彼に向かって「行ってやったぞ」という顔をして、
満足そうに帰って行った。

あれは本当に卑怯だと思う。

大人という圧倒的に強い立場から、
子供という圧倒的に弱い立場の人間に、
自分の考えを一方的に主張する。

こっちの主張を聞くことすらせず、
自分の言いたいことを言えたら、それで満足。

自分の思い込みを疑うこともなく、
自分の子は絶対に被害者で、僕は絶対に加害者。

きっと彼が、自分が被害者になるように、
母親に出来事を報告したのだとは思う。

だけどそうだとしても、僕はこう思ったのだ。

”あんな大人には絶対にならない”

この思いだけは今でも忘れてないし、
あれからずっと自分への「誓い」として心に刻まれている。

今こうしてこの出来事を振り返ってみた時、
彼の母親に言いたい言葉は何だろうと考えた。

すると、「感謝しています」という言葉が思い浮かんだ。

あの時、彼の母親が一方的な怒りをぶつけてくれたことで、
僕は圧倒的に傷つくことができた。

大人になっても忘れられない傷を負うことができた。

そのおかげで『結果的に』、
あんな大人にはならないという誓いは、
あれから決して破られることはなかった。

だから感謝したいと思ったのかもしれない。

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