2021/08/23

どうせお前にはできない

 

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『威圧』について・・

不動産屋のサラリーマンをしていた時に宅建を取得した。

起業するためだった。

サラリーマンと向き合ってみて、
サラリーマンの限界を知った。

会社を変える事はできない。

なぜなら他人を変える事はできないし、
会社はその会社を作った人物の物だからだ。

理想の会社で働きたいならば自分の会社を作るしかないのだと知った。

そこでサラリーマン四年目にして一念発起した僕は、
「半年間で宅建に一発合格します!」
と高らかに宣言した。

それから半年間、会社から帰宅して最低2時間は勉強する毎日が続いた。

休みの日であっても、
勉強しない日は一日もなかった。

全力を尽くそうと決めていたからだ。

そんな毎日を過ごしていると、
ある日、先輩からこんな事を言われた。

「A(僕の後輩)に大矢君が最近頑張ってるねーって言ったんよ。
そしたらあいつ、なんて言ったと思う?
”まあどうせ無理でしょ”やってさ。
あいつはホンマに冷たい奴やなー」

ちなみにこの先輩も宅建に挑戦していて、
もうかれこれ5年連続で不合格になっていた。

宅建に合格して味を占めた僕は、
「公認会計士試験に挑戦します!」
と言って数ヶ月後に退職する旨を伝えた。

一度、本気で勉強してみたかったのだ。

するとまた周りは冷ややかな反応を見せた。

キャリアアップを目指して退職する僕に対し、
誰一人としてエールをくれた人はいなかった。

まるで、
「もう辞める奴だからどうでもいい」
と言わんばかりに、普段の世間話の話題にすら挙げなかった。

他人に干渉するのが至高の暇つぶしである会社員にとって、
ポジティブな理由で退職する人間の話題を挙げないのは不自然極まりない。

要するに、
「お前にできる訳がないだろう」
というメッセージを暗に発していたのであろう。

ある先輩からはこう言われた。

「公認会計士なんてガリ勉ばっかでつまんねえぞ。
そんな奴らと一緒に仕事がしたいのか?」

これは、既に予備校の入学金を支払った僕に対して言ったセリフだ。

彼らは可能性を潰したかったのだろう。

これまでに自分自身も、
それなりに”挑戦”をしてきたが上手くいかなかった為、
人生を変えられる可能性は無いと納得している。

だけど、同じ境遇にいる人間が人生を変えてしまったら、
自分自身にもそれができる可能性が生じてしまうのだ。

「できない」という言葉が言い訳になってしまう。

そうなってしまう可能性を潰したかったのだ。

ちなみにこの時、普段は冷徹だった店長だけは、
「頑張れ。心から応援している」
という言葉をかけてくれた。

しかも宅建に合格した僕に対して、
自分のポケットマネーで高級な名刺入れをプレゼントしてくれた。

この時に初めて、人間の「真の人間性」というものを垣間見れた気がした。

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