2021/11/05

ほとんど会話のない姉がいます

 

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迷いましたが結局、昨日は姪っ子にバースデー電話をかけました。会話はどうにも弾みませんでしたが。間違いなく姪っ子は戸惑っていただろうと思います。もっとなんか喋れよ、ってな具合に。不甲斐ない叔父でほんと、すまん。

だけど電話してよかったなあと思いました。姪っ子の嬉しそうな声が聞けたこともありましたが、それ以上に姉が喜んでいる様子が電話口から伝わってきたからです。「わざわざありがとうね」あれはたぶん、社交辞令ではなかったと思う。姉弟だから、分かる。

この場で姉と過ごした数十年を赤裸々に語るつもりはありません。そんなことをすれば姉の側に迷惑がかかるから。

自分が恥をかいたり辱めを受けたりするのは全然いいです。これまでも身を切るような覚悟で本を出版してきて、またそんな内容ばかりを綴ってきて、今さら別に守りたい秘密もありません。キャッシュカードの暗証番号くらいのものです。これだけ自分の過去を洗いざらい晒け出していると、もはや何が恥ずかしいことなのかもよく分からなくなってきます。だけど当然、姉は違う。自分の身内まで自身の作家活動の犠牲にするのは本意ではありません。

ただ僕たち姉弟の関係の一端をお伝えするとすれば、「一年に一回LINEでやりとりをするくらい」というのがその実となります。

世間一般の姉弟関係がどんな様子なのかは分かりませんが、周りの話を聞くところによれば、姉と弟というのは得てしてあまり仲がよくないケースが多いようです。たいして交流をしないとか、必要以上に言葉を交わさないとか。これが性別が逆だったらば関係性も真逆で、兄と妹はけっこう親密であることが多い印象です。きっと兄の方が妹に対してお節介を焼くからなのかもしれません。

姉と弟はどうしてそうならないのだろう? 理由は定かではありませんが、我々は、そんな仲のよろしくない姉弟のなかでも〝よろしくない側〟に入るくらいの関係かもしれません。なにせ数年間会話をしていなかった時期もあるくらいですから。

いや、よろしくないことはないのかな? 仲が悪いというよりも、「まったく気が合わない」といった方が正確である気がします。いかんせん我々二人は、タイプがまったく違うのです。考え方も、価値観も。だから歳をとるにつれて次第に会話がなくなっていったのかもしれません。

それにあと⋯⋯ちょっとしたわだかまりもあります。弟の僕の方には大して無いけれど、姉の方にはあるっぽい。いや、お互いにあるのかな⋯⋯。お互いに思ったこと、感じたことがあって、ただそれは若さゆえの出来事だということはとっくに分かっていて、だけどもそのことについてちゃんとお互いの気持ちを確認し合ったことは、まだない。

つまりは家族として、本当の意味でまだ分かり合っていないのだと思います。本音をぶつけ合っていないのだから。お互いに胸に一物抱えたまま姉と弟の体裁だけはちゃんと維持しているという感じ。どこかまだ上っ面な関係が続いています。

これは、いつか必ず向き合わなければいけないことだと、自分では分かっています。しかも弟の僕の方から姉に声をかけなければいけない。そうしないことにはこの見えない壁が氷解することは一生ないだろうと、そのことを僕は、十二分によく分かっています。

いつかきっと、ですね。

⋯⋯いや、必ず、です。

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