2021/08/23

ポジティブは期間限定にする

 

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「ポジティブ」について。

世の中、ポジティブに生きるに越したことはないし、ポジティブに物事を考えるに越したことはない。その方が日々、笑顔でいられるし、楽しい生活を送れるだろう。

と、そんなことは誰もが分かっていても、ポジティブに生きることは、実はとても難しいことだと思う。

頭では分かっていてもうまくいかない。ということがある。

例えば、バランスの良い食事を心がけ、できるだけ間食は控え、適度に運動することが健康の秘訣である。というのは誰もが分かっている健康習慣だが、その通りに生活するのはかなり難しい。そうとは分かっていても、時にはジャンクフードが食べたくなったり、油物が食べたくなったりするもの。実際、すべての人がその通りにできるのなら病院なんていらないし、体に悪い食品が売られていても売り上げ不振ですぐに消えていくはずだ。そうならないのは、頭で理解していることがそのまま実行できるわけではない。ということを表している。

推論になってしまうが、どんなに後ろ向きな性格の人でも、どれだけネガティブに考えてしまう人でも、おそらく誰もが最低一度は「ポジティブになってみよう」と思ったことがあるのではないだろうか? あるいはそのように自分を変える努力をしたことがあるのではなかろうか? ポジティブな人生に思いを馳せて。

例によって僕自身も、自分をポジティブ思考に変えようと試行してきた人間だ。

そして多くの人と同様に、その試行は度々失敗に終わり、挫折を繰り返しては自責の念に苛まれてきた人間である。

「どうして自分はこんなにネガティブなんだ!」と。

 

 

大前提として、人には「性分(しょうぶん)」というのものがあるらしい。持って生まれた性格、あるいは陰性体質などの体質的なものもそれらに含まれるだろう。

そのような各人の備えた性分というのは、そう簡単には変えられないのだそうだ。変わらないのだからその人の性分、という話なのだろうし。

そもそも100%ポジティブ思考で生きている人間などいないと思う。むしろいたとしたら、それはもはや躁状態にあたる。気分が異常に高揚していて危険を顧みなくなっている精神状態。たまには落ち込んだり、不安になったりするのが、人間らしい自然な精神状態にあたるのではないだろうか。

だからこそ”0か100か”、みたいな変化を試行しない方がいい。「自分はポジティブ思考の人間になる」などという100の状態を目指すのは、まず辞めるべきだと僕は思う。なぜならそんな完璧人間は異常だからだ。

できるだけポジティブになりたいと自身の変化を望むのであれば、その”塩梅(あんばい)”にもっとも気をつけるべきだと、僕は思っている。

 

 

『期間限定でポジティブになる』

色々と試行した結果、自分にとっては、これが最適解であった。

つまり「今はポジティブな自分になっているんだ」という感じで、一定期間、ポジティブな自分を演じてみる、ということだ。

やはり自分に大きな変化をもたらそうとするのであれば、それ相当の”劇薬”が必要になる。中途半端なことをやっても効き目はないだろう。引きこもりが営業マンをやるような「荒治療」が求められる。

そこでもう無理やりポジティブ人間をやってみる、というのが手っ取り早い。適度にポジティブに考えよう、なんてことは考慮せず、まさに躁状態のように何事もひたすらポジティブに考えるようにしてしまうのだ。

もちろんずっとその状態を続けていたらそのうち精神が壊れてしまうだろう。なにせ異常な状態なのだから。

けれども「今日からこの日まで」という期間を限定してやれば、その心配はない。期間が到来したら元の自分へと帰省すればいいだけだ。

そうしたら結局元の自分に戻ってしまうのでは? と思うかもしれないが、不思議なことに、そうはならない。

それはおそらく、ポジティブな自分をやっていたことによって、元の性格が少しだけポジティブ側に傾くのではないかと僕は分析している。真っ黒な絵の具に真っ白な色を混ぜると少しだけグレーっぽく、という感じであろうか。

自分とは真逆の人間の人生を擬似体験することによって、元の自分に戻った時に、その体験が元々の性格の一部となって構成する。その結果、「ネガティブだけどポジティブなところもある」という感じに帰結するのではなかろうか。あくまで推察に過ぎないが。

 

「今日からポジティブになろう」と思っても、意外とうまくはいかない。

けれども「今日からこの日までポジティブになろう」と思うと、そのチャレンジをどこか楽しむことができる。

”誰かを演じる”というのは、どこか奇妙で、それでいてエキサイティングな体験であるからだ。

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