2020/08/03

マルチ商法と友達

 

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『威圧』について・・

会社を経営している時に雇っている従業員がいた。

彼は予備校で出会った7つ年下の男の子で、
その誠実性を見込んでバイトから正社員へ登用した。

嘘をつかないタイプだと思ったのだ。

実際、当初から一年くらいはそうだった。

しかし僕が経営に迷走するようになった辺りから、
彼の勤務態度は、少しずつ変化を見せ始めた。

基本的に僕は自宅で仕事をしていて、
彼はウチの事務所で仕事をしていた。

その事務所にたまに顔を出しに出向くと、
彼はだらりと椅子に腰掛け、気怠そうに仕事をしていた。

最初は、
「なんか、姿勢悪いな」
くらいの指摘で終わっていた。

だがその勤務態度は常態化していた。

そしてやる気がないと気付いた時には、
彼は「ネットワークビジネス」に手を染めていた。

最初に言っておくが、
僕はネットワークビジネスにあまり良いイメージをもっていない。

理由はその内容ではなく、
それを取り巻く者たちの人間性があまり好きではないのだ。

本来、人間性なんて多種多様が当たり前だと思う。

「これをやっている奴はこういう人間」
などと一括りにはできないはずだ。

だけどこのネットワークビジネスだけは、
その人間性が奇妙に一致しているのだ。

理由はわからない。いや、別に知りたくもない。

ともかく従業員はこの世界に魅了され、
ウチに出勤していることを装いながら、
啓発セミナーなどに参加するようになった。

そうして彼には会社を辞めてもらった。

彼の嘘を問い詰めた際に、
最後まで謝罪の言葉がなかったからだ。

経営者として、もう彼に仕事を任せるわけにはいかなかった。

彼とは予備校で知り合ったので共通の友達が何人かいた。

友達数人は、彼がネットワークを始めたと知ると猛烈に彼を避難した。

それは側から見ていた僕でも気の毒に思うくらいの追求ぶりだった。

僕は彼が「自分を変えたい」というコンプレックスから、
そのような華やかな世界に身を投じたことを知っていた。

だから内容はともあれ、彼のことを応援していた。

あれは最後に彼と会った時だろうか。

僕は彼に言った。

「もし本当に自分の行く道を信じているなら、
友達を切るというのも選択肢も一つだ。
お前は友達の為に生きているわけじゃないだろ?
自分がどの道を歩むかなんて他人に決められる筋合いはない」

その結果、彼も僕と同じように、友達全員と連絡を断った。

彼に対する友達の非難は、
果たして真の友情から出たものだったのだろうか?

妙な宗教に洗脳されてしまった友達の目を覚ますために言った言葉だったのだろうか?

もし本当に友達を救いたい気持ちだったとしても、
その善悪は僕にはわからない。

なぜなら、
「自分を変えたい」と願う彼の気持ちは、
本当の友達なら賛同すべきだと僕は思うからだ。

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