2021/09/01
メールマガジンを終了します
今日まで約2年間続けてきたメールマガジンを一旦終了する決断をしました。
これは自分にとって、信念を一つ手放したのも同じです。しかもいくつかある信念のうちでもけっこう重要なものでした。自分が作家であることの証明、あるいは自負のためにも、メルマガの存在は、自分の中で大きな意味をもっていました。
誰もが、他人から何かを指示されたり、行動を促されたりするのは、嫌いだと思います。
それゆえに小説や映画などの作品では、見る者に対して何かを促すことはしません。また作る側はそうなることを意図的に避けるようにします。元より何かを訴えかける目的で作られたもの以外は。とくに戦争や環境問題などの社会的なテーマを扱う場合においては、製作側は主観を省き、事実を伝えることだけに終始しようとする傾向があります。でなければ「お前にそんなこと言われたくないよ」と、見る者の反感を買ってしまうからです。
ただ、やはりその問題について真剣に考えれば考えるほど、自分の意見が生じてくるのは当然なことで、そしてまた芽生えた正義感によって人々に何かを訴えかけたくなるのも、やはり自然なことなのではないかと思います。我々人間には感情というものが備わっているわけですから。
その意思の表れが、自分にとっては、メールマガジンでした。
本で人の人生に影響を与えたい。そんなエゴを片手に作家を志した自分は、当初からその意思を剥き出しにした書籍ばかりを出版してきました。ところが〝本〟というものを知っていくうちにその性格を理解するようになり、作品を生み出すうえでの作家としてのスタンスを改めるようになりました。つまりは〝物語に昇華しろ〟ということなのです。
けれどもやはり当初の思いを捨てることはしたくありませんでした。それが失われれば自分が作家をやっている意味も失われてしまいます。だからその思いをメールマガジンで実現させるべく配信し続けていました。
しかしやはり、必要とされていないものが廃れていくのは自然の摂理。他人のエゴに付き合ってくれる人がいるはずもない。メールが登録者に届かなくなったのもそういう経緯があるのだと思います。作品に主観を入れるな、という業界の常識はやはり正しかった。
肉を削がれるような思いですが、ここで終了します。
ただ、じゃあ明日からどうしようと考えてみても、頭に浮かぶのはこれまでと同じ。つまりは自身の思いを発信すること。それ以外に考えは浮かびません。
耳障りの良い言葉で茶を濁したり、聞こえの良いメッセージで見る者を魅了したりと、そんなことは到底できやしません。そんな器用な人間だったらば、きっと作家になんてなっていないだろうと思います。
結局、作家大矢慎吾は、誰かに影響を与えたいのです。
どこかの誰かの人生を変えたいし、どこかの誰かを苦しみから救いたいのです。
「お前にそんなこと言われたくないよ」と見る者の反感を買おうが、「何様のつもりだよ」と鼻で笑われようが、それでもこの思いを止めることはできないのです。ほとんど発作みたいなもの。湧き上がる感情を自分の中に押し留めておくことなどできないのです。
たとえ誰にも見向きもされなくても、それでも僕は、自分の信じている作家であり続けたい。
だから明日からも、これまでと同じように、このページで自身の思いを発信し続けていきます。
メールマガジンは一旦終了。またいつか必ず再開させたいとは思っています。それだけの影響力を身につけることができた時に。
その時まで、作家として精進いたします。
まずは本が売れないことには始まらない。人に価値を与える本を生み出すこと。それが作家であることの前提なのだから。
所詮、どうあがいたところで、自分以外の者にはなれない。
器用な人間は結局のところ器用だし、不器用な人間はどうあっても不器用。
不器用な人間は不器用であることを受け入れ、むしろそれを変えることをせず、貫き、自分の長所に変えていくしかないのではないかと思う。
自分自身であり続けること。
たとえ作家として大成できずとも、その生き様だけは、この世界に記して去っていきたい。
関連記事 - Related Posts -
最新記事 - New Posts -
-
2022/07/04
-
暗い文体こそが作家・大矢慎吾の色
-
2022/07/03
-
たぶん、脳力が必要な創作活動は向いていない
-
2022/07/02
-
「争い」と「制約」が生じるのはなぜか?
-
2022/07/01
-
作家として己の価値観を広げたい