2021/08/23
リセットして楽になる
その日は落ち着いていました。
悲しみや怒りはもうどっかに消え体の感覚を感じません。
静かでした。
ムクッと目を覚まし淡々と歯を磨きました。
部屋の椅子に座りました。
なにをするわけでもなく前方をただ見つめていました。
机の上に積まれたノートや教科書、使い古した筆箱や擦り減った消しゴム、そのどれにも焦点は合っていません。
目の前の空間を見つめていました。
1枚のルーズリーフに家族への手紙を書きました。
謝罪やお礼などを綴りました。
書きあがった手紙を見てすぐにビリビリに破って捨てました。
キザな感じがしたからです。
悲劇の主人公を気取りたい自分を初めて認識しました。
テレビを点けました。
チャンネルも変えず映っている絵を無感情で眺めました。
こういう日はご飯を食べるものなのかな?
一般的なスタイルを考えたりしました。
もうすぐ夕方、親が帰ってきます。
感情が生じるのを避けるようにもう一度ベッドに入りました。
夜中になりました。
台所に行きました。
よく切れる大きな包丁は引き出しの奥にありました。
部屋に戻りベッドに腰かけ大きな包丁を眺めました。
こいつはよく切れそうだな。
他人事のように思いました。
しかし・・・
想像した次の瞬間とてつもない恐怖が襲ってきました。
包丁を持った手が震えてきました。
涙が出てきました。
両親の顔が思い浮かびました。
自分は本当に恐ろしいことをするんだと感じました。
親を一生悲しませるひどい人間なんだと感じました。
けれど、それ以上に・・
もう何もかも終わらせたい
譲れない思いがありました。
・・左手に少し熱を感じました。
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