2021/08/23
不安の正体を突き止める
僕が小学生の頃は、まだ周りに携帯電話を持っている友達はいませんでした。けれども今は違うらしい。別にまだ持たせる必要はないと思うけど、周りの友達との関係を考えると、ウチの子だけが無し、というわけにはいかなくなってくるのだそう。
僕にとってはファミコンがそうでした。
友達がみんな持っていて、僕だけが周りの話題についていけなかった。ドラクエをやりたくてもできなかった。カセットを貸し借りする関係が築けなかった。
何度も買ってほしいとねだりましたが、父には断固拒否されました。まったく必要がない物だ、と。
子供だった自分には、ファミコンを持っていないことによる友達との関係性をうまく説明することができず、ずっと友達がプレイするのを後ろから黙って眺めていました。人がやっているRPGなんて、見ていても退屈で仕方がない。
何年も我慢しましたが、まったく要望を聞き入れてくれない父にだんだん腹が立ってきて、「もうお小遣いを貯めて自分で買ってやるわ!」と、父に向かって怒りのまま言い放ちました。
それから1年半、毎月千円のお小遣いを貯金しました。そしてそれなりの軍資金が貯まったところで、「そこまでやったなら買ってやるよ」と、父の方がついに折れました。
これでようやくみんなの仲間入りができる。
ゲーム屋の帰りの車で心から安堵したのを、今でも覚えています。
あれは一体、何に対する安堵の気持ちだったのだろうか。
不安の感情は、僕たちの行動を、強く動機づけするそうです。
それ以外のことに目が向かなくなり、解消するまで思考を支配し続ける。
不安に囚われているうちは、自分の人生とか、自分の生き方とか、本来もっとも重要であるはずのことが放置されていってしまう。そんなことを思います。
ファミコンを手にした僕は、その数年後に引きこもりになりました。
そしてその時に思いました。
ファミコンがあろうがなかろうが、きっと友達との関係は変わらなかった。
問題は自分自身の方にあった。
自分の生き方を変えない限り、この不安はずっと消えることはないだろう、と。
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