命の危機が眠っていた衝動を呼び覚ます

 

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どうしようもなく胸を突き動かす衝動は一体、なんなのだろうか。情熱の炎を拠り所に生まれる一つの思念。何を置いても実行せねば、どんな犠牲を払ってでも実現しないと気が済まない、強い想い。

ある意味では囚われているのかもしれません。自身の考え・価値観というものに。

どうにも視野が狭くなり、論理的な思考を奪われてしまっている状態。「冷静さを欠いているぞ!」と指摘されればまさにその通りとしか言いようがない。学生時分の恋愛はかの状態に近かったように記憶しています。

けれども恋愛がそうであるように、自分でもどうにも制御できないのだから、仕方がありません。抑えようと試みるも引っ込まず、消してやろうと押しつければ倍の力で押し返してくる。抵抗するほどむしろその想いは強くなる一方で、もはや実行に移す以外に選択の余地がなくなってしまう不思議。いや、その頃にはもう自分の中では必然になっている。

しかも危機的な局面を迎えるほど、衝動は、その強さを増していくような気がします。平時にはそれほど気にも留めていなかったことが、命の危機を感じるような出来事(災害や病気)に遭遇した途端、思い出したように心にふっと現れ、突如として己の思考に影響を及ぼし始める。

〝そんなこと、いつまでやってるんだ〟

最初は小さな囁きでしかない。けれどもその警告は、日を追うごとに声の大きさを増していき、そのうち無視できないほどの怒鳴り声となって思考に訴えかけてくる。寝ている時にも、会社で仕事をしている時にも、友人とお酒を飲んでいる時にも。まるで長い間その機をうかがっていたかの如く、必死の形相で。

あるいはその衝動は、自身の心に元々内在していたものなのかもしれない。生まれた時からある想いなのか、もしくは一定の体験を経て生じた想いなのかは知らないけれど、よく生じる物欲などとはまったく異質で、浮かぶ思考のなかでも特別な存在感を感じさせる。昨日今日生じた思考でないことがなぜだか分かる。だからすべてを投げ打ってでも、絶対に、実行に移したいと思ってしまうのかもしれません。

──まさに『これぞ主題』といった心持ちで。

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