2021/08/23

売れる前の作家の戦い

 

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このての話を書く場合は、大抵「売れない作家の〜」という自虐によって話を展開させていくものです。サラリーマン川柳のあのテイストの如く。しかし僕は、自分をそのように卑下したくはありません。自分に自信をもてない作家の書く本など誰が買いたいと思うだろうか。

よってこれは〝売れる前〟の作家の話です。売れる前の作家によくありがちな身の上話になります。

昨日、市民税を支払うためにネックレスを売りました。

我々に課せられる市民税に何千円、という単位はありませんので、ネックレスもそれなりの品を手放したわけです。中古品につき定価の半額以下にディスカウントして売却を行うために、購入した時の価格は尚のこととなります。

もちろんそれだけの品ですから、自分に対する祝いの品として購入をしたものでした。デザインがかなり個性的であるために、もう随分の間着用していませんでしたが、たまに手入れをしながら、宝石箱の中で大事に保管してきました。

このようにして、自宅にある売れる物はひたすらメルカリに出品しています。

生活費に充てるために、諸々の税金を支払うために。

昔の作家は、嫁の着物を売るなどして執筆の資金を作ったわけですから、そのような生活に比べればまだマシですね。ひとまず売れる物がクローゼットにあるうちは。

「さっさと働けよ」というもっともな忠告を無視しつつ、そうした社会不適合な道を今日も地道に歩んでいる次第です。

 

 

思い出の品を手放すことについては、「悲しい」という思いが半分、不思議な「清々しさ」も半分、ありました。

『自分はいま戦ってるな』という充実感があったからです。

数年前に小金持ちになり、調子に乗って欲しい物を買い漁っていた頃の残置物が、いま〝活きた金〟となって自身の生活を救ってくれた。そのことに何やら感慨深いものを感じてしまいました。

思えば、あの頃はバカなお金の使い方をしていました。

思い出すなかでのベスト3は、量販店で「いま一番良いノートパソコンを下さい」と注文して20万円のPCを買い、ロクに使いこなせぬまま半年間で売ってしまったこと。あとはバカ食い・バカ飲みを繰り返し15kg太った状態で買った生涯一高いスーツを、都合10回も着用することなくクローゼットの奥に放置していたこと。そしてくだんの起業の成功を祝して買ったネックレスです。たしか「この店で一番高いものを下さい」と注文した記憶があります。成金野郎丸出しですね。

5年前にそのような裕福な生活を送っていた人間が、今は数万円の市民税を支払うのにも悪戦苦闘している。日々刻々と削り取られていく口座の残高を見て、深い、深いため息をついている。

そんな自分がなんだか可笑しくて、そしてまた、たくましく思えます。

「自分は今、生きている」という確かな実感とともに。

 

 

自分らしい人生を生きるために。

今日も僕は、戦っています。

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