女子高生はなぜ彼氏を見上げる?

 

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一旦休むとすぐに冬眠に入ってしまう。電池切れを起こしたように。やるかやらないか。走るのか止まるのかの二択しかない。中道とは真逆の道を突き進む我が人生です。

昨日は久しぶりに街に出ました。ランチを食べて、買い物をして、と新婚夫婦のような時間を満喫。結婚して三年、お付き合いして十三年という長い月日を過ごしてもなお、妻はこのような時間にときめきを覚える。そしてそんな妻を見て自分自身も幸福を感じる。

妻から言われなければ、昨日のような日をないがしろにし、うすら寒い部屋でひたすらパソコンと向き合う日々を送っていました。そんな人生は嫌だ、と妻の不満が爆発。

この極端な生活に社会とのつながりを生み出してくれる。そうして人生にバランスをもたらせてくれる。

さながら引きこもりがカウンセラーに連れられて街に出ていくような様。中三の時に母に連れられていったおばあちゃんの家を思い出しました。

真逆の人間だからこそ、自分の価値観にはない体験を運んできてくれる。

やはり女性は、僕にとって、偉大な存在です。

 

 

電車の窓からぼーっと駅の様子を眺めていると、制服姿のひと組のカップルが目に留まりました。

隣り同士に並んで立ち、お喋りをしながら、電車の到着を待っている様子。

175cm前後の彼氏と、160cm前後の彼女。15cmの身長差は決して小さくはないが、身長差の目立つカップルというほどではない差。学校で「あの二人の身長差はすごいね」なんて話題には挙がらないレベル。

どうしてこのカップルが気になったかといえば、彼女の方が彼氏を見上げながらお喋りをしていたからです。

あんなふうにして首が痛くならないのだろうか。あの彼女はいつもああして喋っているのだろうか。どうしてそこまでするのだろうか。

例えば結婚して三年、付き合って十年にもなる我々夫婦なんかは、隣り同士で話していても、わざわざ顔を見合わせることすらしません。そもそも目も合わせない。お互いに前を向き、たまにチラリと相手の表情をうかがうくらい。

それは僕の過去のコンプレックスの影響もありますが、いちいち相手と顔を合わせるのが面倒なんですよね。前を向いて喋っていても、今相手がどんな反応を示したのかは大体分かるし、それを言って相手がどんな反応を返してくるのかも大体分かっている。ある意味では、それを確認する必要がないために、相手の顔を見なくてもいいのかもしれません。

けれどあの彼女は高低差15cmというわずかな差さえも埋めようと、必死に顔を持ち上げて彼氏の顔を見ようとしている。付き合いたてなのだろうか? いや、そこまでのういういしさは感じない。ベタベタしようとしている感じとはちょっと違う。

これといった答えも出せないまま、電車は動き出してしまいました。

そうして我が家の最寄駅に到着し、改札に切符を差し込みながら、さっきの出来事を妻に話すと「へえ、そんなことを考えていたんだ」と妻。その声の感じから、「また難しいことを考えてんな、この人は」と思っているのが分かる。でも別にいい。それはいつものことだから。

しばらく歩くと跨線橋(線路の上をまたぐ橋)に出る。日の入り前の太陽がこれでもかというほど全身から光を放っていた。目を向けるとあまりの眩しさに目をやられるほど。

「この美しい太陽を文章でどう表現する?」

いつものように、唐突に妻に質問をぶつける。それに戸惑うこともなく、妻は考えにふける。

そうして「金色に輝く太陽」と言った。

僕は「それは小説としては一番最悪な答えだよ」と言った。美しい光を表現するのに金色を使うのはあまりに陳腐。食レポで「美味しい」を連呼するようなもの。どう美味しいのか、を見ている人は聞きたいのに。

その瞬間にふっと答えが降りてきた。

「そうか、マスクか」

マスクをしているから相手の表情がよくわからない。鼻から下は布に覆われていて、目元だけしか見えていない。彼女からしたら、その目元の表情だけで相手の心境を読み取らなければいけない。

しっかりと確認するために、顔を見上げていたのか、と。

相手の好意を真っ直ぐに感じたい年頃の女の子だからこそ、彼氏の顔を見上げていたのか。

自分なりに、そのような結論に達しました。

 

 

街に出なければ現在の社会の様子は分からない。

実際に自分の目で見なければ、それを正確に表現することできない。

部屋にこもっているだけでは、良い文章は書けない。

それを妻に教えてもらった気がしました。

 

やはり、女性とは、あまりに偉大な存在です。

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