2021/11/05

姪っ子に電話をかけるべきか

 

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家族の誕生日には電話をするようにしています。両親、姉、祖母、そして母方のおばあちゃん。あるきっかけから始めたことで、もう5年以上続けています。もちろん、これからも、ずっと。

その毎年の電話の相手に姪っ子を加えるべきかどうか、迷っています。いや、電話をする意思はほぼ固まっているけれど、それが姪っ子にとって迷惑にならないかどうかを考えてしまう。なにせ相手は女の子だから。

今はいいだろうと思う。叔父から電話があったところで別に、彼女にとっては何の影響もないだろう。誕生日おめでとう、と言ってくれる身内がただ一人増えるだけのこと。

しかしこれが思春期になったらどうだろうか?

直接電話をしてくる親戚の叔父さんって、なんだかちょっと、不気味。その頃にはきっと自分のスマホを持っていて、現段階のように母親(姉)を経由して電話を取り次ぐのではなく、僕から姪っ子に直電をかけることになるだろう。けれども親戚の叔父さんと直接電話で喋るなんて、身内に何か災いが起こったなど特段の事情がない限り、あまりないことだと思う。

またさらに姪っ子が歳をとり、女性として当然そうなるであろう男女交際を経験する頃になれば、もはや親戚の叔父さんからの電話など「ウザい!」以外の何物でもない。いちいちかけてくんなよ、と姪っ子の苛立ちを誘うこと間違いなしである。それがまた交際相手が目の前にいる状況だったらもう目も当てられない。相手に妙な誤解を与えてしまう可能性だってある。

なにより、姪っ子の方から「もう電話をかけてこないで」なんて言えないだろうと思う。それがいつ訪れるか、姪っ子にとっていつからがそういう時期にあたるのか、こちらからはまず分からない。中学生ではもう遅いような気がする。あるいは近頃では幼稚園児に彼氏がいたりするというのだから、もっと早い段階かもしれない。小学校にあがる頃にはもう「電話、だりいな」と思われているかもしれない。

ところが、それがもしも逆だったならば、それはそれで姪っ子を傷つけてしまう恐れがある。

毎年ちゃんと誕生日には電話をくれていた叔父。けれども何故かふとした時から何の音沙汰もなくなってしまった。どうしたのだろう。私のことなんてもう忘れてしまったのか? 叔父にとって私の存在など大して重要ではなかったのか? あの電話は単なる叔父の気まぐれだったのだろうか?

自分勝手な叔父だ。自分から期待をかけさせておいて、自分が飽きたらもうほったかしだなんて。別に待ってなどいなかったけど、毎年あったものが突然無くなったら、誰だって少し寂しさを感じてしまうだろう。そんないい加減なことをするんだったら最初から誕生日の電話なんて始めなければよかったじゃないか? まったく冷たい身内だ。もうあんな人、必要な時以外は会いたくない。話もしたくない。見たくもない。

⋯⋯といったことにも、なりかねない。

自分が誕生日電話など始めたものだから、そのせいで姪っ子に嫌な気持ちを抱かせることになるかもしれない。だったらいま電話なんてかけない方がいいのではないか? という気にもなってしまう。

つまりは、「いつ電話からLINEに切り替えればいいのか?」のそのタイミングが、叔父さん(僕)にはてんで見当がつかないのである。

しかし時間は刻一刻と過ぎていく。今日という日を逃したら、あと1年はもうこの機会はやってこない。

姪っ子を喜ばすことができるか、あるいは傷つけることになってしまうのか、決断に残された時間はあと6時間。いや、寝ていたら終わりだからもう2、3時間くらいの猶予しかない。誕生日の電話は当日であって初めて意味をなすもの。覚えていたんだよ、というメッセージがそこには含まれているのだから。

果たして自分(叔父)はどうすべきか⋯⋯。

たとえどういう展開になったとしても、自分が嫌われる目に遭って終わってくれたらそれでいいのだ。そしてまた、そのことに関して姪っ子が罪悪感を抱かなければ、もはや言うことなしなのだ。

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