2020/08/03

引きこもり時代の彼女

 

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『嫉妬』について・・

中学3年の時、僕は引きこもりだった。

その理由や当時の出来事については散々書籍に書いたので、
あらためてここで触れることはしない。

当時、僕には付き合っている彼女がいた。

完全に学校へ行かなくなる前に相手から告白されて付き合い、
引きこもってからも、しばらくは関係が続いていた。

告白された時、僕は彼女の事をなんとも思っていなかった。

こんな自分に告白してくれた事が嬉しかったから、付き合った。

最初はそんなものなのかもしれない。

お互いの気持ちが同程度に高まっている事はあまりないと思う。

ともかく、最初は彼女の方が僕に好意を抱いていて、
彼女に対する僕の好意はゼロに等しかったのだった。

ところがこの好意のバランスは、僕が引きこもってからは真逆になった。

彼女には毎日連絡をよこすよう強制し、
メールは即返信、電話は2コール以内に取るように命令した。

束縛といえば聞こえがいいだろう。

束縛とは、自分が相手を好き過ぎるが故、
相手の「すべて」を自分の物にしたいというエゴだと思う。

だけど僕の場合はそれとは少し違った。

彼女は僕の事を好きで好きでしょうがなくて、
必死になって僕の事を追いかけているのだから、
常に連絡をよこしてくるのが当然だと思っていたのだ。

だから彼女が僕の連絡を無視するようになった時、
僕にはそうなる理由が、まったくわからなかった。

「なんで僕を追いかけて来ないんだ?」

彼女に対して執拗に連絡をよこすよう催促していた。

この段階で、すでに僕は追う立場となり、
彼女は追われる立場へと逆転していたのだった。

彼女から連絡がこなくなり、僕は毎日イライラしていた。

どうしたんだ?
今あいつは何をしているんだ?
誰と一緒にいるんだ?

彼女のことを考えては、部屋の壁に怒りをぶつけていた。

そのうち彼女の女友達を通じて「別れたい」という意思を告げられ、
僕たちは自然消滅という形で交際を終了させた。

あの頃の僕には彼女しかいなかった。

友達が、果たして本当に友達なのかが分からなかった。

友情とか仲間とか絆とか、
そういう目に見えないものは一切信用できなかった。

だから「付き合う」という契りを明確に交わした彼女は、
僕にとって繋がりを感じられる唯一の相手だった。

彼女は僕にとっての”最後の砦”だったのだ。

あの時の彼女に対する「束縛」は、
好きという気持ちから出た行動だったのは間違いない。

だけど、それだけじゃなかった。

彼女に嫌な思いをさせて、
彼女がそれを乗り越えてきてくれたなら、
本当に自分は好かれているのだと感じられる・・

あれは、自分への愛情を確認するための、常套手段だったのだ。

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