2021/08/23

後悔する・しないは紙一重の差

 

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探偵ナイトスクープという番組を毎週録画して観ています。二十代の頃までは嫌いな番組でしたが、いつからか見逃したくないと思うようになりました。

もう30年以上続く長寿番組だけあって内容もよく知られています。視聴者から寄せられた依頼に基づき、芸人扮する探偵が依頼者の元を訪れ、その解決に向けてあれこれと試行錯誤を繰り広げる1時間番組。依頼内容はくだらないものからシリアスなものまで様々で、文字通り毎回笑いあり涙ありの1時間になっています。

昨日観た放送回は「実の弟と十年間、口を聞いていない兄が関係を修復したい」という依頼内容でした。

兄は数年間の引きこもりを経験したのちにアルバイトで社会復帰を果たし、仕事のやりがいや人間関係について学んだとのこと。そこで初めて家族の絆の大切さに気づいたらしい。

それまでは別に何も感じていなかった。だけど弟と10年も口を聞いていないなんておかしい。弟から自分は避けられている。どうしてこうなってしまったのかと振り返ってみると、小さい頃に自分が散々弟をイジメていたことを思い出す。そしてそれがあまりにも度が過ぎていたことも。

ようやく社会復帰を果たし、これから自分は変わっていくんだと決意していた兄は、弟との関係修復を心底望むようになった。

「変わるなら今ここしかない」

土下座でもなんでもして、弟に謝罪したい。また小さい頃のように弟と仲良く遊びたい。

けれども自分一人では勇気が出ない。ということで、番組に依頼文を送ったらしい。

そうして番組協力の元、10年ぶりに顔を突き合わせた二人が、先祖たちが見守る仏間にて言葉を交わす。

「お前に謝りたい」

「いや、兄弟やから謝るとかおかしい。その代わり、一発殴らせてくれ。お兄ちゃんもオレを殴っていいから」

これまでにしてきたことを鑑みれば、兄の方も弟を殴る、というのはちょっとおかしい。それなのに兄は弟を超えるほどのビンタをかまし、モニタリングしていた家族と探偵を驚愕させる。いや、お前殴ったらおかしいやん。

それでも兄弟は抱き合い、お互いに涙涙で10年ぶりの笑顔を取り戻していた。兄弟の中ではそれで分かり合えたらしい。

「いや、ご先祖様ビックリしたと思うで」という探偵の最後のセリフが、観ている僕たち夫婦を笑顔にしてくれました。

 

 

視聴者からすると笑える放送回でしたが、きっと依頼者本人にとっては”一世一代の大勝負”という場面だったのではないかと想像します。

家族にただ一言謝るだけ。それでもそれは、とても勇気がいることだと思います。自分が姉にそうすると考えたら、もう嫌で嫌で仕方がない。なんだか照れくさいし、恥ずかしいし。

家族だからこそ、面と向かって気持ちを伝えることには大きな抵抗を感じるものだと思います。

それを「今ここしかない」と決心をつけて実行したのだから、本当にすごいと思います。きっと部屋から出る時以上に勇気を振り絞ったはず。

そんな放送を観て僕は思いました。

人生に後悔するか・しないかなんて、本当に紙一重なんだな、と。

あの瞬間に謝っていなかったらどうなっていただろうか? あとで振り返ってみると、「その一言を言うか・言わないか」くらいの、本当に些細なものなんじゃないかと思います。人生の分岐点って。

 

僕は常々、人生に後悔だけは残したくないと思っています。

かのような番組を観て、自分も言うべきことは絶対に言っておこう。と決意した次第です。

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