2021/08/23

怒りを伝えないと損をする

 

この記事を書いている人 - WRITER -

『怒り』について・・

小さい頃から大人ぶった子供だった。

大人たちの会話に、同じ立ち位置で自分も混ざろうとしたり、
クラスの子たちが騒いでいる様子を見つめがら、隣にいた教師に、
「ホントにしょうがない奴らですよね」とか言ったり。

担任教師が言ってくれた賞賛の言葉を嘘だと見抜き、
「いやいや、こんな作文、ただ長いだけですよ」
などと、へり下ってみたり。

それに対する相手の反応は、決まって苦笑いだった。

ただ自分を擁護するわけではないが、
そう思ってしまったのだから、仕方がない。

気付いてしまう、分かってしまうのだから、仕方がないのだ。

無理して背伸びして、そうなりたかった奴のパターンではなく、
純粋無垢な子供の素直な行動だった。

当然その行動は、身内に対しても同様で、
親戚の同級生の男の子を、僕は少し下に見ていた。

夏休みにウチの実家に親戚たちが集まり、
居間でどんちゃん騒ぎの準備をしていた。

あれは夕方頃だったと思う。

大人たちはみんな、食材を切ったり、テーブルに皿を並べたりしていて、
準備が整うまで子供は大人しく座ってろ、という感じだった。

親戚の同級生の男の子と僕は、食卓に座っていて、
暇だからとりあえずテレビでも見ようという話になった。

リモコンをかざしてテレビを点けると、バラエティ番組が映った。

そして僕は、チャンネルを戦隊ヒーローの番組に合わせた。

その方がこの子は喜ぶだろうし、
退屈なこの時間を楽しめるだろうと配慮しての行動だった。

しかし、その子は言った。

「こんなの観ないよ。さっきのに戻そうよ」

パッと顔を見ると、その横にいたその子のお母さんも、
僕を下に見るような苦笑いを浮かべていた。

それを見た瞬間、僕はリモコンを食卓に叩きつけて、
「ああ!」と言ってその部屋から出て行った。

そしてドンチャン騒ぎの最中も、
ずっと気に入らないという態度をとっていた。

それを見た同級生のお母さんは、
「なに怒ってんの? 変な子だわ」
吐き捨てるように親戚中に言っていたのだった。

そして親戚たちも、みんなそれに同調していた。

僕はあの時、ただ単に嫌な気持ちになっただけだった。

自分の行動が勘違いされたのは仕方がない。

だけど、自分がなぜそんな行動を取ったのか、
それだけは、分かってほしかった。

ただそれは、言わなければ相手には分からない。

しっかりと怒りを表現しなければ、自分の主張は相手に伝わらない。

「僕は怒っている」と相手に伝えなければ、
相手にスネていると誤解されるだけだし、
しかも、自分だけが損した気持ちになる。

だからあの時、僕はしっかりと怒ればよかったんだ。

この記事を書いている人 - WRITER -
 

Copyright© 売れっ子Kindle作家 大矢慎吾 , 2019 All Rights Reserved.