2021/08/23

戦争と僕たち、日本人の存在意義

 

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テーマ:戦争

 

戦争とはすなわち「思想の戦い」だと思う。

近世からひたすら戦争を繰り返してきた欧米諸国の戦いも、
主導者たちの闘争心を突き動かしていたのは「啓蒙思想」だ。

”王室の支配(絶対君主制)をぶっ壊して人民に権利を!”

その思想は南米にまで広がり、
キューバ革命などで知られるチェ・ゲバラらの闘争をも生み出した。

中東の戦争も火種を追っていけば宗教同士の争いにぶつかる。

つまり、僕たちが一つの思想のもとに統一された時に、
「正義」という名の下に戦争が勃発するのではないだろうか。

・・そう、その戦争の本質に出会った時、
僕は、僕たち日本人にしかできないある種の”役割”に気がついた。

 

 

日本は一神教と共に歩んできた国ではない。

一神教とは、ただ一つの神の存在を認めて信仰する宗教だ。
(代表的なものがキリスト教、イスラム教、ユダヤ教)

たしかに過去にはキリスト教が地方で影響力を振るったことはあったし、
現在でも各宗教団体が一部で強い影響力をもっているのはたしかだ。

けれども、僕たち日本人の身体の根底に流れているのは宗教ではない。

 

『神道』だ。

 

神道(古神道)は八百万の神を信仰するもので、
聖書や経典もなければ、教義や決まり事などの類も一切ない。
(唯一あるのは「二礼、二拍手、一礼」の参拝作法くらい)

ただ自分の中に『神心』をもっていればそれでいい。

ただ目を瞑り、手を合わせ、神様に祈りを捧げること。

その祈りの対象は木彫りの偶像や外人の彫刻でなくとも、
優雅にそびえ立つ山々やしぶきを上げて轟々と流れ落ちる滝、
そして沈む夕日を背に寄り添う夫婦岩でいい。

神様への感謝の気持ちがあれば、ただ、それだけでいいのだ。

近年に建てられたものは無視するとして、
神社というものは世界中でここ日本にしか存在しない。

僕たちの心に根差している精神は、この世界で唯一無二のものなのだ。

それは諸宗教の教えのようにわざわざ文字に起こすようなものではない。

具現化など無用。
(ソクラテスが教本化しなかったように)

実態はなくてもそれは確かに存在していて、
潜在意識を通してほぼ無意識的に共有し合っているもの。

はたから見ればそれは「無い」と感じるのかもしれない。

そう・・だから僕たち日本人には”強い思想が無い”。

『神心』は経典や教義のように実体化されはしないので、
一人一人の心に「譲れない信念」が形成されていない。

そんなものは、別に、何だっていいと思っている。

それこそが、僕たち日本人だけがもつ特性だ。

盆は数珠を片手にお寺にお参りをして、
クリスマスはツリーを飾ってケーキを食べ、
正月は神社に初詣に出かけてお神酒をいただく。

まったく訳がわからない。

信仰の対象も、神も仏もぐちゃぐちゃだ。

けれどもそうなれるのは、僕たち日本人に強い思想が無いからなのだ。

アメリカ人に言わせれば、
「日本人は自分の考えを主張しない」
という話になるのだろう。

けれども主張をしないことが日本人の日本人たる所以。

僕たち日本人にとって、
特定の価値観に執着するのは性に合わないのだ。

新しい物事に対して柔軟で、常に流動的であるのが僕たち、日本人。

それを可能ならしめているのが、
強い思想が無いという特異な民族性だ。

世界のあらゆる異文化を認め、受け入れ、
実践してみて、自分らなりに咀嚼して、
そして最終的には自分たちの色として表現をする。

ラーメンも、電化製品も、ヒップホップも、そして争い事も、
あらゆる物事を自分らなりに解釈できる人種・・

それこそが、僕たち、日本人なのだ。

 

 

日本人の心には唯一無二の精神が備わっている。

そしてここ日本国は世界で唯一の被爆国だ。

戦争の悲惨さと、戦争の虚しさを、
世界のどの民族よりも知っているのが日本人。

「絶対に戦争をしてはいけない」

その言葉にもっとも説得力があるのも、やはり日本人。

そう、だからこそ、この時代において、
僕たち日本人には大きな存在意義がある。

いや、僕たち日本人にしかできない”役割”がある。

それは何なのかと聞くのはあまりに無思慮な行動だろう。

必要なものは全て用意されているのだから。

今はいちいち図書館に通わなくても知識は手に入るのだし。

また、役割だなんて大そうに考えなくても、
各々が良いと思ったことならば何だっていいはずだ。

どんな些細なことでも構わないだろう。

この時代に少しでも自分が生きた証を刻むことができるのなら、
ただそれだけで、どんな行動にも価値があるのではないだろうか。

 

そういえば今日は終戦記念日か。

・・たまに、戦争を自分らなりに解釈することは、
僕たち日本人に与えられた使命なのではないかと思うことがある。

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