2020/10/19

新一万円札・渋沢栄一の理由

 

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テーマ:謙遜

 

昨年4月、2024年を目処に新紙幣が発行されることが発表された。

千円札、五千円札、一万円札のデザインが一新されると同時に、
新たにお札の顔となる人物たちの名前も発表された。

新一万円札は「渋沢栄一」という人物だ。

通称:日本の資本主義の父と呼ばれている渋沢は、
明治維新以後のこの国の経済の発展に多大な影響を与えた人物だとして知られている。

・JR
・日経新聞
・サッポロビール
・みずほ銀行
・帝国ホテル
・明治神宮

これら名だたる機関の設立に関わっていた大物実業家だ。

まさにこの国の顔となるにふさわしい偉人といえるだろう。

 

 

渋沢栄一には有名な著書がある。

”論語と算盤”

これは渋沢の講演の口述をまとめたもので、
論語の教えが実業界においていかに役に立つのかが説かれている。

 

・・そう、渋沢栄一は論語に深く心酔していた人物なのだ。

 

渋沢は論語を社会で生きるための”絶対的な教え”として、
常に自分の手元から離したことはなかったとされている。

曰く、道徳の書である論語を熟読すれば「商才」さえも養える、とのことだ。
(現代語訳:論語と算盤より)

孔子の教えは競争社会を象徴する資本主義にも活用できるらしい。

そんな渋沢は、
「過ぎたるはなお及ばざるが如し」
という有名な論語の言葉について、
「蟹穴主義が肝要である」
という主張をしている。

これは、蟹が自身の甲羅に似せて穴を掘るという習性から、
「自分の身の丈にあったことをやるべき」という考え方を指す。

この主張は渋沢の著書の随所に見られ、
商売人は自己利益の追求ではなく社会利益の追求を心がけるべきだと説いている。

著書の中の言葉を借りれば、
「まっとうな富は正しい活動によって手に入れるべきもの」
ということらしい。

ここでいう”まっとうな富”や”正しい活動”とは、
きっと道徳(論語の教え)に従ったものを指しているのだろう。

また渋沢は、貧富の格差について、
「国の発展のためには仕方がないもの」
だと主張している。

競争原理が働く資本主義を追求していけば、
自ずと市民の間で貧富の格差は拡大していくもの。

それを「不公平だ」と言うのならば、
どうやって日本に豊かさをもたらせばいいのか?

どうやって他国と競争していけばいいのか?

この国が豊かになっていくと同時に市民に貧富の格差が広がるのならば、
それは自然の成り行きであって、逃れられない宿命として受け入れるより他ないであろう・・

著書ではこのような主張がなされている。

要するに、
国の発展の為には僕たちは喜んで犠牲を払わなければいけない、
ということを言っているわけだ。

おそらくそれが現代的な「仁」を貫く生き方であるという話なのだろう。

まさに”論語的発想”・・

これらの考え方は、道徳の観点では正しいように感じるけれど、
果たして僕たちに幸福をもたらしてくれる考え方なのだろうか?

その考え方に従って生きていれば僕たちは幸福になれるのだろうか?

 

他国との競争のために我が身を犠牲にすることが僕たちの人生を豊かにしてくれるのだろうか?

 

この主張の数十年後に日本が世界との戦争に参加し、
その先にどのような悲劇が待ち受けていたのかを知っていれば、
その答えは考えるまでもないだろうと思う。

 

 

来年からはNHKで「青天を衝け」という大河ドラマが始める。

主人公は渋沢栄一というタイムリーさだ。

まるで形骸化しつつある論語の教えを再び普及せんとばかりに。

以前から”司馬史観”という歴史観が危険視されているが、
きっと今回のドラマでも主人公が偉大なヒーローとして描かれるのだろう。

 

そしてきっと、「論語」も同様であるに違いない・・

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