2021/08/23
新刊をボツにしました
日々自分の意識が変わっていき、世の中への見方も変わってきたことで、自分の気持ちと本のコンセプトが合わなくなりました。またそれは船首を180度転回するような方向転換であり、現在の自分の思いとは真逆の行き先を目指す航路でした。
どんな本であっても必ず誰かにとっては意味のあるものになるとは思いますが、自分の気持ちが原稿を書く手を動かそうとしません。要するに、気が進みません。気が進まないものを執筆することほど作家にとって苦痛なことはありません。僕は苦痛を体験したいから作家をやっているわけではないので、これまでの価値観や旧来の家具と同様、捨てるという決断に至りました。
これで累計3冊の原稿を捨てたことになります。1冊目は今年の4月に出版する予定だった本、二冊目は9月に出版する予定だった本、そして三冊目は今月に出版する予定だった本です。
苦労して書いた原稿を捨てるのは身を切るような思いがしますが、それ以上に爽快感の方がはるかに上回ります。なんだか清々しくて、それでいて充足感があります。その原稿を必死に執筆していた自分の体験こそが尊いものであった、と。
事前に何度か新刊の予告をしていましたので、もしかすると楽しみにしておられた方がいるかもしれません。その方々にはとても申し訳なく思います。本当にごめんなさい。
ただ、既に新たなコンセプトのもとに新刊の執筆にとりかかっています。今回の書籍は最近のものとはまったく違う書籍になると思います。ある意味で原点回帰、自分が本来思い描いていた「表現したい世界観」が詰め込まれています。
色々試してみた結果、やはりこれだったという感じでしょうか。それでも通った回り道で得た体験はかけがえのないものでした。これがなければやはりこの道にはたどり着けなかっただろうと思います。
また仕上がりが見えてきたらあらためてお知らせいたします。楽しみにしていて下さい。
ちなみにボツにした原稿のコンセプトは以下のような感じです。
1冊目:コロナウィルスが対人関係の在り方を明らかにしてくれる
2冊目:メディアはどのようにして僕たちに対立を起こさせているのか?
3冊目:戦争と向き合うことで得られる生きることの意味
・・重い。重いですね。重くて、攻撃的で、そしてネガティブな思考を孕んでいるのが見てとれます。ネガティブな状況をどうにか打開できないかと試行錯誤していた苦悩の日々を思い出します。
本当に苦しかったですが、とても素晴らしい体験でした。