2021/08/23

日常を、非日常に

 

この記事を書いている人 - WRITER -

久しぶりに30分ほどウォーキングしてきました。

煌々と照りつける太陽の下、膝丈ほどの草むらが生い茂る河原の小道を、お気に入りの音楽を聴きながら、ただ歩く。マスクを外して、木々の緑と空の青さを体いっぱいに感じて。

マニアックな道。誰ともすれ違わない。誰も見ていない。

都会の喧騒の中であっても、独り占めの景色は、ある。

イヤホンを外すと車の走る音がはるか遠くに聞こえる。わずかに学生たちの話し声が。電車の音も。

小さな川のせせらぎがそれら雑音をかき消す。日常から意識を遠ざけ、自然の方に向けさせる。聞こえているのに、聞こえなくなる。

そのうち自分一人しかいないような気になってきて、立ち止まり、両手をいっぱいに広げて日の光を浴びる。文字通りの独り占め。深呼吸なんかもしちゃって。スキップはやめとこうか。

そして終着点。行き止まり。何もない。どこにも通じていない。そりゃあ誰も通らないだろう。

くるりと踵を返し、また歩く。帰り道。今度は太陽を背にして。眩しいのが暖かいに変わる。気持ちいい汗が流れる。

周りから見たらどう映るだろう? なんてのはイヤホンで耳にフタ。何も見ない。何も聞かない。

この場所では自分勝手に。わがままに。自分優先で。

自分が見つけた場所。誰にも侵されたくない。誰にも教えたくはない。家族にも、友達にも。

ここは自分だけしか知らない、非日常を体感できるパワースポットなのだ。

 

 

昔、部屋に引きこもっていた時期に、夜中に一人で田舎道をふらふらと歩いていました。何をするわけでもなく。

真っ暗な河原を歩いたり。静かな田んぼ道を歩いたり。補導されやしないかとヒヤヒヤしながら。

非行少年になるのが怖かったのではなく、変な奴だとバレるのが怖かったのだろうと思います。

そして自分がそうなることによって親に迷惑をかけてしまうことが、何よりも怖かったのだろうと思います。

 

今は親にも、そして誰よりも妻に対して、迷惑をかけ続けています。

しかし迷惑をかけているし、迷惑をかけられてもいるので、別にいいのかな、と思ったりします。

そうやって絆を深めているような気がするからです。

この記事を書いている人 - WRITER -
 

Copyright© 売れっ子Kindle作家 大矢慎吾 , 2021 All Rights Reserved.