気分屋の天に翻弄されてばかりいる

 

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一人暮らしの頃から数えて初の出来事が起こった。米櫃の内を夥しい数の真っ黒な虫たちに占拠された。

驚愕、憤怒、落胆、いろいろな感情が同時多発的に湧きあがったものの、もっぱら支配的だったのは謝罪の気持ちだった。わざわざ生鮮市場で購入して送ってくれている父に申し訳ない。我が家への到着からわずか二週間での惨事だった。

のちに夫婦でこの怪事の実態調査を試みたところ、意外にも一般家庭においてままある小事として認識されている模様だった。別に大騒ぎするほどのことではない、虫をつまんで洗米すれば一向に味に差し支えはない、その程度の位置付けらしい。実際、購入先の米屋に対する怒りの気持ち半分で父に電話をしたところ、「それは保管方法が悪い」とやんわりと嗜められ自身の無学ぶりを自覚させられた。世間のご家庭は皆、米櫃内を縦横無尽に蠢く黒い虫の存在を脅威とはみなしていないらしい。

かくして我が家では、市販の玄米を急場しのぎにAmazonで購入し、貯蔵の玄米24kgは泣く泣く全廃棄する運びとなった。とても洗米時につまんで捨てる程度で対応できる状態にはなかったからだ。

しかし18歳から続くそこそこ長い自活歴において米櫃の内に虫がわくなどという怪事は、ただの一度も経験したことがない。炊いた米の色が変わってきても平気で放置するような無分別な若年の頃であっても。そしてまた唐辛子を内包させることの意味を考えもしない愚鈍な頃であっても。

単なる運の問題なのだろうか? どうもそんな風には考えられない。この五年間の夫婦共同生活(自炊が圧倒的に増えた)においてもこんな現象にはついぞ出会わなかった。

そんなわずかな疑念を抱きつつネットニュースを開くと、大陸の方では人工的に雨を誘うミサイルが何発も発射されているらしい。目下発生中の歴史的な干ばつ問題を国が解決すべく実施したとのこと。

たしか去年は供給過多の雨(台風)によって一部の街が壊滅的な浸水状態に陥っていたのではなかったか。

一転して今年は不足している、こちらの方では梅雨明け宣言も疑わしきかな気持ちの悪い天気がいつまでも続いている。一体、何の悪戯であろうか。数年前からこうした文字通りの天の気分屋に翻弄されてばかりいるように思えてならない。去年は去年とて茹だるような暑さに悲鳴をあげる毎日を送っていた。毎年様変わりの天災が降りかかってきているように感じるのは私だけだろうか。

単なる気のせいか。ただ少なくとも、ここまで雨に翻弄されて育った記憶はない。

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