2021/08/23
金持ちの子供
『侮辱』について・・
彼とは中学から一緒になった。
同じサッカー部に所属し、
共通の友達も多かった。
ただ彼とはなんとなく仲良くなれなかった。
流行り物は誰よりも早く手に入れていて、
臨海学校の時には大流行していたGーショックを3個も腕にはめていた。
「これくらいの方がいいよな?」
と聞かれたが、その意味がサッパリわからなかった。
そんな彼とは高校三年の時によく一緒にいた。
夜中に彼の家に集まってゲームをしたり、
時にはクソ田舎の街を徘徊したりした。
別に何をするわけでもない。
不良っぽいことをするのが格好良いと思っていたのだ。
このような付き合い方で友達と呼べるのかははよくわからない。
ただSNSが登場した事で、
大人になってからもSNSを通じて連絡を取ることが度々あった。
彼には過去二度、「んっ?」と感じた時がある。
一度目は高校の頃だ。
彼とは休日の昼から遊ぶ約束をしていた。
しかし、当日に楽しく遊んでいると、
2、3時間後に「帰ってよ」みたいな事を言われた。
理由を尋ねると、この後別の友達と遊ぶ約束をしているからだと言われた。
つまりその友達との約束の時間までの待ち時間を、
僕と遊ぶ時間へと充てたのだ。
二度目は僕が起業して、経営が軌道に乗った頃だ。
僕が起業している事をSNSで知って、
彼の方から声をかけてきた。
彼の親が元々会社を経営していたので、
その頃の彼は、二代目というカタチで同会社の役員になっていた。
そして僕たちは数十年ぶりに地元で食事に出かけた。
何か話したいことがあるのはなんとなくわかっていた。
久しぶりに会った彼は経営者らしい風格を帯びていて、
見た目も僕と同級生とは思えないほど大人びていた。
そんな彼は「同級生の奴らとは合わない」と言った。
彼のイケイケの生活に対して、
同級生たちは地味で落ち着いている。
だから一緒にいても楽しくないと言うのだ。
彼は学生の頃にも同じ事を言っていた。
「アイツらとはノリが合わない」
僕は彼がその話をする度に、
(だったらなんで縁を切らないのだろう?)
とずっと疑問に思っていた。
だけど大人になってもずっと地元の同級生とは友達付き合いを続けていたらしい。
彼には取引先やビジネス仲間など知り合いはたくさんいて、
別に友達には困っていなかったと思うのだが・・
そして思い出話もネタを尽きた頃、彼は僕にこう言った。
「売上の何パーを渡すから、ウチの会社でお前のビジネスをやってくれ」
僕はこのセリフに、二度目の「んっ?」を感じたのだった。
なぜ僕がそんな事をしなければいけないのか、
僕の方のメリットが何一つ無かったからだ。
彼にとって、僕や地元の友達というのは、
優越感を感じられる場所だったのだろう。
金持ちばかりとつるむようになってからも、
その場所に帰れば腐れ縁にかこつけていつでも優越感を感じる事ができる。
相手と合わないと言いつつも縁を切らないのは、
そういう場所を一生残しておきたいからなのだろう。
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