2021/08/23

2020年を目前にして 11

 

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「個人出版の役割とは何だ?」
「個人出版の作家がやるべきことは何だ?」

僕はこれまでずっと模索してきた。

紙の本では出来ないこと。

紙の本では出版できない本。

世の中には売れない作家がたくさんいて、
あるいはこんなことを言う者もいるかもしれない。

一般大衆に支持はされないが
芸術的(文学的)に優れた後世に残すべき本。

既得権益に差止めを食らうような
人類全員が共有すべき偉大な知識を綴った本。
(フリーエネルギーなどの類)

簡単に言うと「商業出版では実現できない本」。

お金の問題で実現できなかったことを、
儲けなど一切考えずに出版するということだ。

利益度外視なら書きたいことを書けるし、
必要なことを必要なだけの文字数で書くことができるだろう。

極端な話、3ページ程度の電子書籍でもアリかもしれない。

 

僕も最初は似たようなことを考えていた。

「誰か一人の心に響けばいい」

実名で口習や体習の悩みを告白した。

自身の十数年間の軌跡を書き記した。

たとえ売れなくても、
どこかの誰かの役に立てたならそれで満足だった。

「勇気をもらいました」

読者からたくさんのメールをいただいた。
(すべて保存しています。ありがとう)

自殺するほど苦しかった過去の出来事が、
ようやく意味のあるものへと昇華した気がした。

・・だけど、5冊出版してみて思った。

”物足りない”

誰か一人の役に立てば良かったはずなのに、
実際に役に立ってみると、
それだけでは満足できない自分がいた。

”これを仕事にしたい”

だから僕は作家になった。

作家なら本で食っていかなければならない。

本を売って得たお金で、
家族を養っていかなければならない。

作家として売れなければいけないのだ。

売れる本を書かなければいけないのだ。

利益度外視で自分が思う最高の本を書き続ける、
それも作家としての一つのスタイルだと思う。

それで自分が満足できるのなら良いと思う。

「そんなのは自己満足だろう?」
他人からどう言われても関係はないと思う。

だけど僕は、
自己満足では満足できなかった。

自分の正義とは合わなかった。

なぜなら、お金にならなくとも
世の中に必要だと思う本を出版する・・

それでは『自己犠牲』になってしまうからだ。

誰かのために、何かのために、
自分だけが苦しい思いをするのは、
自己満足というより自己犠牲だと思う。

執筆作業なんて、
自己満足で続けられるほど楽しいものではない。

脳が沸いて溶けるほど頭を使い、
うつ病になるほどギリギリまで精神を追い込み、
ようやく出てきた言葉を成立するところまで洗練させる。

そこまでやってようやく出版した本が、
人知れずAmazon川の底にひっそりと沈んでいく。

そんなことを何年も続けられるだろうか?

僕には無理だ。

あれほど苦労して書き上げた本だ。

一人でも多くの人に読んで欲しいと思っている。

だからたとえ個人出版だとしても、
作家として売れなければ意味がないのだ。

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