〜続き〜 　「ユーチューバーには月額十万円でタワーマンションに住んでもらいます」 　店主たちは口をあんぐり開けたまま固まってしまった。 　「たしかにyoutubeとインスタグラ …

〜続き〜 　「次に会員を募るのは『ユーチューバー』たちです」 　瀬下がそう告げると、十二人の店主たちからどよめきが起こった。 　「初期段階の会員資格は、フォロワー数が三千人以上 …

〜続き〜 　「いやしかし、たった三ヶ月間で結果が出るとは思いませんでした」 　そう口にしたのはダイニングカフェ店主の米田だった。彼は美容院経営者の馬場に次いで企画の参加に躊躇を …

〜続き〜 　瀬下が加藤の店に着くと高杉は既に準備を終えて待機していた。何人かと談笑を交わしながら残りの店主が到着するのを待っている様子だった。店主たちに軽く会釈を交わした瀬下は …

　不意に車両が急停車したのか、頭をがくんと揺さぶられた高杉は目を覚ました。こういう時に吊り革を握った手が離れないのを本当に不思議に思う。頭は寝ていても神経は活動を続けているのか …

〜続き〜 　「レペゼン堀江プロジェクトは、最初に皆さんに損をしていただこうと思っています」 　高杉のその言葉は店主たちの怒りを買うどころか、むしろ五人を呆れ返らせた。 　「あな …

〜続き〜 　「そもそもあなたの企画には最初から穴があるんですよ」 　真打ち登場といったところか。議論を黙って聞いていた美容院経営者の馬場が口を開いた。 　「定額料金で使い放題と …

〜続き〜 　「まあまあ。まだ実際に稼働しているわけではないですし。とりあえず、集まったメンバーを紹介しますね」 　イタリア料理店店主の加藤が興奮する男をなだめた。紹介者としてひ …

　その日はあいにくの雨だった。しかも街に吹きつける風が轟轟と唸りを上げ、営業中の店々の窓をうるさく叩いていた。 　もちろん「この街の不動産屋」も例外ではなく、歩道に面した店舗の …

度々夜遅くの配信をしてしまいごめんなさい。 もっと早く書けるようになりたい・・   〜続き〜 　高杉の問いは、加藤にわずかな困惑をもたらした。 　「堀江の店主に知り合 …

～続き～ 　「レペゼン堀江のウェブサイトは見てもらえましたか？」 　打ち合わせは事前に通達していた事項の確認から始まった。 　「ひと通り見ました。とてもワクワクするデザインです …

　約束の日の朝、高杉が出勤すると従業員の顔は三つあった。 　「おはようございます」 　活気に溢れた男女の混声が社長を迎えた。心なしか声が弾んでいるように聞こえる。 　これから全 …

〜続き〜 　高杉が風呂から上がる頃には、娘の櫻は既に床についていた。眠い目をこすって自分の帰りを待っていてくれたのだろう。健気な我が子に対する罪悪感がうっすらと湧いてくる。 　 …

　電車が動き出した。やたらと大げさなフェンスが窓の外を流れていく。 　大阪へ越してきた当初にはこんな可動式のホーム柵はなかった。転落防止のために必要な処置だったらしい。安全のた …

〜続き〜 　高杉は店主の加藤を真っ直ぐに見据えていた。そこには自信もさることながら、これから自身が成し遂げようとすることに対する揺るぎない信念がこもっていた。 　その彼の振る舞 …