「 2020年 」 一覧

no image

この街の不動産屋さん 5の続き

  2020/12/09 

〜続き〜  イタリア料理店の店主加藤は、その言葉の意味を計りかねていた。ポップには「レペゼン堀江」というサイト名とURLが印字されている。  「堀江の空き物件を紹介しているんで …

no image

この街の不動産屋さん 5

  2020/12/08 

 「落ち着いた雰囲気の店ですね。色合いが温かくてすごく心地良いです」  加藤は開口一番に店の雰囲気を褒めた。それはまさに本人の意識を象徴するようだった。  昨日とは打って変わっ …

no image

この街の不動産屋さん 4の続きの続き

  2020/12/07 

〜続き〜  「すいません、お楽しみのところを邪魔してしまって。会話の内容を聞いてもしかしたらと思いまして」  歳は四十前後だろうか。口元に蓄えられた髭はこのイタリア料理店の雰囲 …

no image

この街の不動産屋さん 4の続き

  2020/12/06 

〜続き〜  「高杉社長と瀬下さんって、元同僚だったんですか?」  川上が殻をむいたピスタチオを口に放り込んで言った。頬が少し紅潮している。  「そうですよ。所属していた店舗は違 …

no image

この街の不動産屋さん 4

  2020/12/05 

 「あらためて、これからよろしくお願いします」  社長の高杉がテーブルの中央にグラスを掲げた。三方向から手が出てきてグラスが重なる。かちんという音と共によろしくお願いしますと各 …

no image

この街の不動産屋さん 3の続き

  2020/12/04 

〜続き〜  「私からあれこれ言う前にお客様の感想を聞きましょう。大沢さん、接客を受けてみてどうでしたか?」  川上のロールプレイングを止めた瀬下は淡々と進行した。努めて感情を殺 …

no image

この街の不動産屋さん 3

  2020/12/03 

 店のガラス越しに見える堀江の街はすっかり夕方の装いに包まれていた。ビルの各階のテナントには明かりが灯り、帰路につこうと歩き始めた人々の物欲を刺激している。  見上げた窓からち …

no image

この街の不動産屋さん 2

  2020/12/02 

 遠くの方で鳥のさえずりが聞こえる。机の上に転がったスマートフォンに触れるとまだ七時前だった。アラームが鳴る前に目覚めたことで少し損をした気分になる。  椅子から立ち上がって思 …

no image

この街の不動産屋さん 1

  2020/12/01 

 「こんな時代だからこそ地域に密着した不動産屋が必要なんだ」  高杉陽一は真っ新なカウンター越しに己の信念を声高に告げた。二人の従業員は上ずった社長のその言葉を素直にノートに書 …

Copyright© 売れっ子Kindle作家 大矢慎吾 , 2020 All Rights Reserved.