「 Kindle 」 一覧
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コンビニ 2
2023/02/02
よろめくように私はスナック菓子の棚の方へと足を向けた。ストライキに徹した脳内でぼんやりと化学調味料の蠱惑が想起され、組み立てを放棄することの悦びがよみがえり、意志を伝える間も …
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コンビニ
2023/02/01
身を引き裂くような冷たい風がうっとうしい。別に、悲嘆するつもりもなければ、強がって微笑むつもりもない。ただその存在を認識し、身に受けるでもなく、あらがうでもなく、必要な行為に …
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明日から再び小説を書きます
2023/01/31
久しぶりにブログを書きます。 小説を書こうと思い立ってはや二年が経ちました。今年こそは処女作を発表するといっておきながら執筆の中途で頓挫し、必要に迫られた娯楽小説の分析を始め、 …
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生き様も込みで無頼派。その晩年の結実、太宰治
2023/01/23
順番は前後するものの川端康成氏との比較という便宜上、三島由紀夫氏の分析を先にしていた。文学の歴史においては本来、彼らが続く系譜となる。 無頼派(新戯作派)──自然主義などの既成 …
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理知と技術の文学、三島由紀夫
2023/01/16
氏の文学はしばしば〝人工的〟であると評される。 たしかに作品から受ける印象は、かたい。ほのかに薫り無意識が感応を示す芸術とは真逆の、意志的で、理知的で、卓越した技術により造形さ …
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幽玄の小説家、川端康成
2022/12/29
生前の氏の肖像を見るや、そのぎょろりと大きく見開かれた目に誰もがまず注意をひかれてしまう。 ある話では、初めて相対する者は皆、氏のその執拗な凝視に気味悪がったのだという。じっと …
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谷崎・芥川の芸術論争に関連する、文学の芸術について
2022/12/20
少し前の谷崎潤一郎氏の分析において、文学における芸術は『絵画的芸術』と『建築的芸術』とに大別される、と私は明言していた。そして谷崎潤一郎氏は絵画的芸術に、芥川龍之介氏は建築的芸 …
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作家として自死した、芥川龍之介
2022/12/17
私は常々、書籍は作家にとっての作品の一部でしかないと考えている。 〝優れた作家とは?〟 文学作品から娯楽小説、ひいてはエッセイから自己啓発書に至るまで様々なジャンルの書籍が書店 …
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文体の妖術使い、谷崎潤一郎
2022/12/02
小説の創作にあたって作家が思案する要素は二つある。 『何を書くか?』 『どう書くか?』 これらを充実させる、あるいは向上させることによって、作品に重厚感や格調高さ、ひいては〝面 …
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文体の教科書、志賀直哉
2022/11/26
文明開花が起こって以降、西欧の文化が続々と流入するや、極東の島国における文芸はにわかに活気を帯びていく。 その端緒となったのは自然主義文学。 出自による身分差別という旧制度の名 …