2021/08/23
ワルでもないのにタバコをふかす
“男がタバコをふかす姿はカッコいい”
そんなイメージはありました。
なんか不良っぽくてワイルドな感じで。
男性は、特に学生時代の男子は、
タバコをふかすカッコいい先輩の姿に憧れて吸い始める、
多くの人はそうなのかもしれません。
僕にとっての喫煙は少し違いました。
僕にとっての喫煙は口習対策でした。
タバコを吸うと着ている衣服や髪の毛、
そして吐く息もタバコ臭いニオイになります。
“臭くなることがなぜ口習対策なのか?”
これは・・思春期男子ゆえの心理なのです。
実はタバコを口にしたのはこの時が初めてではありませんでした。
初めてタバコに火を点けたのは、
中学3年生の引きこもっていた時です。
自分の将来を考えるともうとにかく不安で、
オレはこのままどうなってしまうんだろう?
という先の見えない将来に恐怖を感じていました。
仮にもし学校に行けたとしても、
まわりの反応をずっと気にして生活していかないといけない。
(あいつって病んでたんだよね?)
クラス内や他のクラスの同級生たちが、
不登校の理由をあれこれ予想してヒソヒソ話をする状況がイメージされました。
そこで僕は
じゃあ、不良になったと思わせればいい!
と考えたのです。
ニオイが気になってうつ病で不登校っていうキャラはなんかカラミ辛そうな気がする・・
でもグレて学校に来てなかったっていうキャラなら友達に受け入れられるかもしれない。
「これは良い“ポジショニング”だぞ!」
※ポジショニング:
もし自分がお店をやるとしたらどんなお店にするのか?
お客様にどういうサービスを提供するのか?を考える戦略
不良ならば受け入れられる、15歳の安易な発想かもしれません。
それでも目の前の状況をどうにか打開しなければいけないと、
自分なりに必死で考えた結果でした。
そこで僕はまず夜中にコンビニの自販機に
タバコを買いに出かけました。
いまはタスポなどの身分証明書が必要ですが、
当時は誰でもお金を払えば自販機でタバコを買うことができました。
そして誰もいない暗闇の河原で一人、
恐る恐るセブンスターを人差し指と中指に挟んで火を点けました。すると・・
「ゲホッ!ゲホッ!」
とてつもない激痛がノドを襲いました。
咳が大きすぎて河原中に僕の声が響き渡ったので
夜中パトロールする警官に見つかったらエラいことになってしまう
いやこんなヘタレな自分に不良キャラが務まるのか?
数時間前のアイディアを一瞬で却下しかねないほど強烈な刺激でした。
その後も何度かチャレンジしました。
煙に耐えて吸い続けていればいつか
吸えるようになるだろうと考えていました。
けれどそのうちに頭がクラクラしてきました。
セブンスターはそこそこキツい(タールの度数が高い)タバコだったので、
最初にチャレンジするのは少しハードルが高かったのかもしません。
さすがに続けられなくなってきて、
いつの間にかチャレンジを終了していました。
「吸う?」
「うん。」
反射神経で返答しました。
ダサい、なんて思われたくなかったからです。
「ゲホッゲホッ!」
中学3年の時と同じように激しく咳き込みましたが、そこは友達の手前、弱音を吐くことはできません。
「うわ、キツイね。」
そう言いながらも吸引を止めることはしませんでした。
それからは自らタバコを吸う習慣が身につきました。
登校前、休み時間、放課後など、
学校にいる時は5分でも時間があればトイレに駆け込みました。
そしてタバコ臭い香りを“誇らしく身にまとい”教室へ入ってくる。
周囲がタバコの香りに気づいてこちらに目を向ける。
これが格別の優越感だったんです。
同級生の男子、特に女子に(あいつ、ヤンチャなことしてるなー。)
と思われるのがカッコいいと考えていたんです。
まあ本当にしょうもないことだとは思います。
ただこのしょうもない優越感、
クダらないと思われるような価値観を大切にする
この世代だからこそ、口習などのコンプレックスは
その子の青春に多大な影響を与えることになるのだと思います。
“タバコ=カッコいい”一般的にはタバコを吸っている姿自体が
カッコいいからタバコを吸うのかもしれません。
僕にとってはそれ以上の意味がありました。
タバコのカッコいい香りを身にまとうことで
自分自身のニオイをごまかすことができる。
タバコを吸うことは香水を身にまとうことと同じ、
違う自分を演出するためのツールであり、
タバコは僕に人と話す勇気を与えてくれる大切なパートナーだったのです。
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