2021/08/23

上司にマジギレ

 

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『怒り』について・・

僕は会社員の経験が短い。

24歳で脱サラして国家試験に挑戦し、
その後、起業家として生きてきたからだ。

今もサラリーマンをしているが派遣社員だ。

正式な会社員としての経験は4年ほどしかない。

そんな短い会社員経験をした20代前半の頃、
僕はとある不動産会社に勤務していた。

不動産屋はとにかくヒネクレ者だらけだ。

とくに経験不問、学歴不要の歩合給で働く営業マンなどは、
その兆候がかなり強い。

僕が在籍していたのはそういう会社だった。

営業会社というのはどこも同じかもしれないが、
個人プレーで仕事をする傾向が強い。

みんな、自分の売上にしか興味がなくて、
自分の売上に関係する仕事しかやりたがらない。

なかでも敬遠されるのが「新人教育」だ。

新人を育てても、自分の売上は上がらない。

むしろ、新人が成長することによって、
自分にまわってくるはずだったお客さんを取られることになる。

自分が苦労して新人を育て、
そして、自分の給料を減らすことになる。

「数字」だけで見れば、
新人教育はデメリットしかないのだ。

だから誰もやりたがらない。

それどころか、新人なんてさっさと
辞めてしまえばいいとさえ思っている輩もいる。

実際、僕がいた会社にも、そういう雰囲気があった。

たしかにその気持ちはわからなくも無かった。

普段の仕事に加えて新人教育まで任せるならば、
その分の手当が欲しいと誰もが思うだろう。

自分だけが損している気分になるから。

僕は役職手当がついていたので、
自分なりの正義に従い、新人教育に力を注いでいた。

他の営業マンが新人に興味が無いのは仕方がない。

だけど、僕がムカついたのは、
責任者である店長までもが、新人教育に興味がなかったことだ。

新人が育たなかったから困るのは自分だろ?

なぜそれがわからないんだ?

僕は店長に何度か進言したが、
聞く耳をもってもらえなかった。

それは僕は23歳で、店長が38歳というのも、
少なからず影響していたような気がする。

「若いやつに何がわかるんだ」

店長のみならず、他の営業マンも、
熱心に新人を指導する僕に対して
冷ややかな視線を投げかけてきた。

そんな中で僕は、指導マニュアルを作成したり、
新人が話しやすいように営業トークを書き起こしたりと、
様々な施策をとっていた。

が、新人は、一向に育たなかった。

それはもちろん、僕の指導力不足だ。

だけど、他の営業マンや店長の
新人に対する態度は酷かった。

まるで、育っても育たなくてもどうでもいい、みたいな。

どれだけ僕が一人で奮闘したところで、
周りの人間が新人を虫けら扱いしていたら、
そんな会社で働きたいと思う新人はいないだろう。

周りのそんな態度を、何度か我慢して耐えたが、
ある食事会で僕の不満は爆発した。

「このままじゃ、この店はマジで終わりますよ!」

後輩が育たない会社に未来があるはずがない。

今は良いだろうけど、いつか、崩壊する時がくる。

自分なりに、新人教育の重要性を説いた。

もちろん自分がこれまでにやってきたことも
全員に伝えたうえで。

だけど翌日、出勤した僕に対して、
周囲の人間の反応はこうだった。

「酒の勢いで、あんな生意気なこと言いやがって」

彼らにとっては、僕が酔っ払って、
単に意気がった発言をしただけだと捉えられていたのだ。

僕は本当に満を持して伝えたつもりだった。

だけど、どれだけ正論を言ったところで、
言うタイミング、そして場所が悪ければ相手には伝わらない。

怒りに任せて正論を伝えても、
相手には「怒り」しか、伝わらない。

本当に相手に伝えたいならば、
感情でモノを伝えると、真逆の効果を招くみたいだ。

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