2021/08/23
全否定の男
『威圧』について・・
過去にムカついた忘れられない体験、
そのうちの二つ目。
僕には一回り以上、歳が離れた同期社員がいた。
とにかく「嫌な奴」だった。
過去に出会った人間のうち、
もっとも嫌な奴だったかもしれない。
その発言はいちいち上から目線で偉そうで、
皮肉屋でヒネクレ者で人からヤル気を奪うタイプだった。
僕を含めた若い20代の社員が会議で発言すると、
必ずそれを嘲笑して否定する。
たしかに僕たち若い社員の発言はちゃちな内容が多かった。
感情に任せた個人的な意見も多く、
若さゆえの荒々しい考えばかりを口にしていた。
円滑な組織運営を助ける建設的な意見ではなかったと思う。
しかしその人の口から飛び出していたのは、
まさに他人のヤル気を削ぐ言葉の彫刻刀だった。
ある時、店のパソコンで管理していた、
エクセルの表を更新する機会があった。
このエクセルの表には計算式が一つも入っておらず、
誰もが無理くり、コピペなどで更新させていた。
だから僕は、この機会に計算式を入れて、
今後も簡単に表を更新できるようにしようと考えた。
しかしその様子を隣で見ていた例の人物が言った。
「お前、何様だ。勝手なことするな」
そして僕から席を奪うと、
いつも通りにコピペで表を更新し始めた。
僕の行動は、この人に全否定されたわけだ。
具体的に言いはしなかったけど、
「お前ごときが何をほざいてやがる」
というメッセージが僕には伝わってきた。
僕はあの時、目の前にあった同期の背中に、
ボールペンを突き刺してやりたい衝動にかられた。
その後、僕はこの不動産屋を退社して
公認会計士試験に挑戦していたわけだが、
あらゆる場面であの人の顔が思い浮かんだ。
模擬試験の点数が悪かった時や、
難しい論点につまづいて何時間も悩まされた時、
あるいは合格しても就職難で未来は暗いと知った時など・・
ニヤついたあの人が僕を嘲笑する映像が頭に浮かんだ。
そしてその度に僕の心は奮い立たされ、
机に向かう集中力を手にすることができた。
そう・・だからあの人は、
僕に勉強を継続させる為に僕を嘲笑したのだ。
僕をムカつかせて、反発させて、
僕の潜在能力を引き出す為に僕を威圧したのだ。
だから忘れられないほど僕をムカつかせたあの二人とは、
僕をチャレンジ成功へと導いてもらう為に出会ったのだ・・
関連記事 - Related Posts -
-
2022/01/20
-
命の危機が眠っていた衝動を呼び覚ます
-
2022/02/01
-
傲慢な考えにしがみついてはいけない
-
2022/05/20
-
ときには侮る姿勢も大事では
-
2020/12/06
-
この街の不動産屋さん 4の続き
最新記事 - New Posts -
-
2023/06/05
-
生きるとは自殺への反抗
-
2023/05/31
-
哲学的な死の解釈
-
2023/05/22
-
宇宙や魂の存在を考察する哲学
-
2023/05/18
-
自己啓発でもなく、スピリチュアルでもなかった