2020/08/03

生涯の汚点

 

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『怒り』について・・

ガキ大将だった小学生の頃、
何事も自分中心に物事を考えていた。

どんな時にも、自分が話題の中心にいなければ気が済まず、
みんなが自分を見てくれていると思い込んでいた。

肉親でもあるまいし、そんな事はあり得ないのだが。

ただ自分ではそれが当然だと信じていたのだから仕方がない。

自分中心でない状況を察知すると、
周りに対して、激しい怒りを表していた。

ある日、担任教師が不在の日があった。

その理由はもう忘れてしまったけど、
「明日はみんなよろしくね」という担任の事前告知があった。

この「よろしくね」には「良い子にしていてね」
というニュアンスが含まれていたように思う。

クラス委員だった当時の僕は、そう感じた。

が、当日のクラスは酷い有様だった。

授業中にはみんなが好き勝手に走り回り、
体育の時間にやった、あるゲームでは、
ゲーム中のルールに誰も従わない。

鬼ごっこだと言っているのに、
鬼がタッチしても、誰も鬼を交代しない。

この線から出てはいけないと言っているのに、
無視して線の外にまで飛び出して逃げる始末。

終いには、各々が遊具や砂場などで遊び始めた。

クラス委員だった僕は、先生から
「クラスの秩序は任せたわよ」
という命を受けたと思っていた。

だからこの状況を何とかしようと孤軍奮闘した。

大きな声を出し、ルールを守らない子に注意をして、
みんなが真面目に取り組むように頑張った。

それなのに、僕の注意は完全に無視された。

誰もが嫌がることを自ら進んでやっているのに、
こんな仕打ちをされるのは許せない。

僕はみんなに仕返しをしてやろうと思った。

要するに、
「誰も自分に注目していないこの状況が許せなくて、
ムカついたからみんなを傷つけてやろうと思った」
という話である。

僕はみんなの前で「あれ?」と芝居を打った。

気付いてこっちに注目した女子たちに対して、
僕は喉を指差して状況を伝えた。

(声が・・出ない)

母性全開で心配してくれた女子たちが、
僕に代わってみんなを注意する。

それでも無秩序な状況が変化する事はなかったが、
この日の出来事は担任教師に報告された。

翌日、担任教師はみんなに言った。

「昨日の事は聞きました。
とても残念に思っています。
慎吾君なんて、大きな声を出し過ぎて、
声が出せなくなってしまったんですよ。
本当に残念です」

この瞬間、僕に生涯の汚点が刻まれた。

他人から同情を買うような真似をして注目を集めれば、
取り返しのつかない罪悪感を感じることになる。

そしてそこには、絶対的な「敗北感」が伴う。

男として、あまりにも「ダサい」奴の所業だ。

そんな汚点を人生に残すくらいならば孤独でいる方がマシだ。

と、小学五年生は思ったのだった。

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