部屋の観葉植物をキレイにしました

 

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ウチのリビングには大きな観葉植物があります。

結婚祝いに妻が職場の知人から貰ったもので、当初は小柄で可愛い緑でしたが、今ではリビングの一角を陣取り来訪者たちに大きな存在感を見せつけています。

この子が今もこの場所に居るのは妻に愛されていたからです。

一度引越しの際に業者から「植物の損壊は保証できません」と宣告され、これはもうお別れするしかないだろうと僕は思いました。けれども妻にその旨を告げると、「絶対に連れて行く!」と断固として譲りませんでした。そこでできる限りの緩衝を施したうえで引越し業者に委ねたところ、五体満足のまま無事に新居に迎え入れることとなりました。無傷であったことに僕たちはいくばくか感動したのを覚えています。

ところが生き長らえたことに安心したのか、この子は加速度的に成長するようになりました。

新たな枝葉を1本、また1本と積み上げるようにして増やしていき、周りにあったダイニングテーブルやテレビに触れるほど葉を大きく広げました。日のあたるベランダ側に置いていると、もう数日間で見違えるほどの変貌を遂げています。

同じ空間に住む存在として元気なのは良いことなのですが、他の者たちの領域にまで踏み込んでくると、次第に「おいおい」という気持ちになってきます。君は一体どれだけ大きくなるんだい? わずかながらの危惧が生じてきます。

1、2歳までは近くの家具をどかしたり、スペースのある所に移動させたりして周囲との均衡を保っていたのですが、もはやそのガタイは70型テレビほどの大きさになっていました。小ぶりの2LDKにはさすがに立派すぎます。

そこで止むなくリビングの通路に押しやりました。僕たちの通り道ですが仕方ありません。

通路に居座ったこの子は明らかに僕たちの進路の妨げになりました。すれ違う度に洋服を引っ張ってくるのでかないません。最初はそれも愛おしく思っていましたが段々と煩わしさを感じるようになりました。

「邪魔だな」

その感情は子供に向けられるものではなく、物体に向けられるそれでした。いつからかこの緑は、「この子」から「このインテリア」に変わっていたのです。

そうしてすれ違う度に衣服で擦り合わされた葉っぱは、一部が裂けてペラペラになり、少し生気を失ったようにぐったりとしていました。まるでスカスカになった傘みたいに所々に穴が空いています。

旧来の家具を処分することが決まり、家具の配置を変え、ようやくこの子が伸び伸びと葉を広げられるスペースが確保できました。やっとこの子の成長度合いに懸念を感じる必要がなくなったのです。重い鉢を引きずりながら移動させてみると、まだ少し余裕があるほどの空間に身体全体がすっぽりと収まりました。

ところが、あらためてこの子の身体を見てみると、どの葉もほとんど半開きになっていました。その全てが下を向き、控えめで、小さく縮こまっているように見えました。

きっと見えるのではなく実際にそうなのだと思います。この子はこの子なりに、僕たちの邪魔になるまいと身体を小さく留めようとしたのでしょう。その必死な様子が伝わってきて思わず心が痛みました。

「辛い思いをさせてごめんね。もう、大丈夫だから」

 

 

ついさっき、葉っぱや枝についたホコリを払い、霧吹きをかけてこびりついた汚れを落としました。少し水々しさが戻った感じがします。

また元気に成長してくれよ。まあ、適度に・・

ただ実をいうと、そこまでこの子を気にかける必要はありません。

なぜならこの子は、とてつもなく”タフ”だからです。

水をあげるのを忘れても全然枯れません。日光浴も不要です。この子には光合成などという概念はまったくありません。

あやまって葉を破いてしまっても、数日したら新たな枝葉を生やし、傷ついた古い葉はポイと捨ててしまいます。少し枯れ始めたと思って水をあげると、もう次の日にはケロッとしてまた大きく葉を広げます。しばらく放っていても問題なく生きていくことができるのです。なんとたくましいやら・・

 

だから僕たちが与えた仕打ちなど、この子は別に気にもしていないのかもしれませんね。

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