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日本アルプス 4
2023/02/09
ゴンドラの扉が開くと同時に、弾かれたように何人かが飛び出した。私もそのうちの一人だった。 誰もが最終のロープウェイの時刻を懸念しているのは当然なのだが、それだけではない心理 …
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日本アルプス 3
2023/02/08
駐車場は始発前だというのにもう半分ほどが埋まっている。ほどんどが県内のナンバーだが他県からの遠征者もちらほら散見される。まったく奇特な連中がいるものだ、と、私の顔から思わず笑 …
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日本アルプス 2
2023/02/07
高山西ICで高速道路を降り、国道をしばらく走ると古い街並みが見えてくる。昔ながらの木造家屋が道の両脇にずらりと並び、食べ歩きのできる軽食や土産物、器や郷土品などが販売され、国 …
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日本アルプス
2023/02/06
朝靄の立ちこめる高速道路を縫うように小型の四駆者が駈けている。ぶるるるとエンジン音を奏でた白い車体が時おり弾み、灯したヘッドライトが上下に揺れている。 そろそろ遠くの方の空 …
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短編:コンビニ
2023/02/04
身を裂くような風が吹き荒んでいる。別に、悲観するつもりもなければ、強いてはしゃごうとするつもりもない。ただ存在を認識し、受け入れるでもなく、あらがうでもなしに、必要な行為にで …
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コンビニ 4
2023/02/04
私は呼び止められたようにぴたりと足を止め、声のした方へとゆっくりと面を回した。しながら、「いつもありがとうございます」という言葉をあたまのなかで反芻した。そこに込められた音を …
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コンビニ 3
2023/02/03
意気揚々と冷蔵庫から二本の缶チューハイを鷲掴みにし、提げた買い物カゴにそれ用のスペースを繕っていると、遠くの方から靴音が早足で近づいてくるのが聞こえた。にわかに人の気配がフロ …
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コンビニ 2
2023/02/02
よろめくように私はスナック菓子の棚の方へと足を向けた。ストライキに徹した脳内でぼんやりと化学調味料の蠱惑が想起され、組み立てを放棄することの悦びがよみがえり、意志を伝える間も …
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コンビニ
2023/02/01
身を引き裂くような冷たい風がうっとうしい。別に、悲嘆するつもりもなければ、強がって微笑むつもりもない。ただその存在を認識し、身に受けるでもなく、あらがうでもなく、必要な行為に …
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明日から再び小説を書きます
2023/01/31
久しぶりにブログを書きます。 小説を書こうと思い立ってはや二年が経ちました。今年こそは処女作を発表するといっておきながら執筆の中途で頓挫し、必要に迫られた娯楽小説の分析を始め、 …